吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

『怖い絵』展(7月22日(土)~9月18日(月)/兵庫県立美術館)

2017-08-24 18:52:30 | 日々美しいものに触れようよ
 『怖い絵』展って・・・題名からして『お盆に合わせて怖い絵を展示したら、お客が入るんじゃないか?』という美術館にあるまじき展覧会のようですが、行ってビックリ!お盆も明けた平日だというの大変な人気!!!凄く混んでます。

 入口には作品を題材にした展示が(背景が丸い鏡になっていて、オデュッセウスのように自分も写ることができます)・・・。

※ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『オデュッセウスに杯を差し出すキルケー
 ・・・・・うかうかと盃の中身を飲むと動物に変えられてしまう(足元に一匹転がってます)。
 

 垂れ幕はホガースの『ビール街』と、


 同じくホガースで『ジン横丁


 『ビールを飲めば神に祝福され、ジンを飲めば地獄行き』なのだとか。

 子供向けのパンフレットには『あなたはどちらの町に住みたいですか?』と書いてある。
 『ジン横丁に住みたい!』なんて子供がいたらどうするんだ!?『将来の夢は悪の帝王モリアーティ教授です!』とか言いそうです。

 もう気が付いた方も多いと思いますが、これは中野京子のベストセラー『怖い絵』シリーズで紹介された作品を集めた展覧会なのです。

 最初気づかずに、お盆向けのキワモノじゃないか?なんて思いながら入ったのですが、観てビックリ!大変充実した展示です。
 特に『幻想絵画好きにはタマらん!』企画で、メインに紹介されている絵画以外にも重要な作品を原画で観ることができるので、これはぜひ行くべきです!!!

 今回の目玉はコレです。16歳で処刑されたイングランド最初の女王。

※ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』

 ルドンの幻想絵画はイイですよ。ボードレールの詩集『悪の華』の挿絵も手掛けてます。

※オディロン・ルドン『眼=気球』

 何とモローの作品も来てます!!!

※ギュスターヴ・モロー『ソドムの天使』
 ・・・神はソドムの都を硫黄の火で焼き尽くした・・・『ソドムの街を振り返り見しロトの妻は、塩の柱となりにけり』


 どうです、実に豪華! ビアズリーの『サロメ』挿絵や、マックス・クリンガーの連作版画『手袋』シリーズ、そして模写でこそあるものの、ベックリンの『死の島』まである!


※オーブリー・ビアズリー『ダンサーへの報酬』・・・銀の盆に載せられたヨハネの首


※マックス・クリンガーの連作版画『手袋』から・・・拾った手袋が様々に変貌する。


※アルノルト・ベックリン『死の島』・・・これはオリジナル版(展示は模写版です)。

 学芸員が頑張ってます!拍手!

 兵庫での展示が終わったら上野の森美術館(10月7日~12月17日)へ行くそうです。お見逃しなく!