大阪のゴーストップ事件の2ヶ月前のこと。
福山で暴行事件があり、男を拘留した。
ところが、その男は福山聯隊の陸軍将校だった。
結局、警察が軍に謝罪し、事件は終わった。
・・・
「福山市史・下」 福山市 昭和58年発行
軍警抗争事件
異境で苦労しているであろう兵士への感謝の念と、
「暴支膺懲」の宣伝とが市民内部で相乗的に増幅して、
戦争支持が世論となり、批判の材料が与えられないまま無謀な戦争に引き込まれていったのである。
このようななかで、
昭和8年(1933)4月14日、
軍の横暴ぶりを示す象徴的な事件が起こった。
市内のカフェーで福山聯隊の中尉が暴行事件を起こし、
これを鎮めようとした巡査二人と衝突、これを取り押さえ、憲兵隊に引き渡した。
ところが憲兵隊長は、
「現役将校に手錠をかけ留置場に入れたのはけしからぬ」
と逆ねじをくわせ、
第五師団の安岡参謀長も
「中尉の行為は悪いが、侮辱した点を警察は謝罪せよ」
と迫った。
結局軍の横車がとおり警察が謝罪して「円満解決」した。
非は明らかに暴行した中尉にあったにもかかわらず、政治問題化し、
結局聯隊側の言い分に帰したのであり、
軍の横暴ぶりを端的に示した事件であるといえる。
聯隊長は地方都市では「小大名的存在」であっただけに、
時流にのった横暴事件が徐々に目だつようになっていった。
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(福山歩兵41聯隊跡)
撮影日・2023.3.28
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