雨と霧の森へ・・・!
今日(10日)は朝から雨です。
教学の森から西尾根コースに入ると、それまで小降りになっていた雨が
また激しく降ってきました。
こんな大雨の森を歩くのは、うっとうしい気分になりがちですが・・・
それでも今日は森を歩きたい・・・
私は理性よりも心の赴くまま、自分の気持ちを優先しようと出かけてきたの
です。
いつもリュックに入れてあるコンパクトなビニールカッパを初めて取り出し、
上下を身に付け、傘をさして・・・ 万全の格好です ?
森の入り口にある巨木のアラカシを、いつもここを通ると見上げるように、
今日も反り返って体を曲げたとたんに・・・ ドサ~ と まとまった雨が顔に
降りかかり、思わずカウンターパンチを浴びてしまいました・・・
先程も、アケボノスギ木の下でまとまった雨粒を頭からビックリするほど
浴びて・・・
雨もしたたるいい男? なんて苦笑していたのに、またです・・・ (笑)。
ヒサカキ、ネジキ、ヤマザクラ、アベマキ、イロハモミジ、ヤマツツジ、
アラカシ、ヤブツバキ、リョーブ、あせび、しゃしゃんぽ、ホーノキ、
カナメモチ、ソヨゴ・・・
いつも見る樹木が雨に打たれて嬉々としている様子が分かります・・・
雨は森の恵みなんだな・・・と 実感です・・・
それぞれの樹木からの芽だし、若葉から発散される匂い、香り・・・
青くさいような、少し甘ったるいような、何ともいえない甘美な若さを感じる
この匂い・・・ 私には初めてのものですが、それをこの大雨の森の中で
しっかりと私の鼻が捕らえました。
それにこの雨の中でも、すぐ近くでウグイスの鳴き声が聞えます。
耳を澄ますと、結構沢山の小鳥達がさえずっているのにビックリです・・・
しかし、傘やビニールカッパにあたる雨音の方が大きくて奇異に感じます。
それにしても鳥の羽根はいくら防水? とはいえ、すごいんだな・・・ と
変な所で感心してしまいます (笑)。
いつの日だったか・・・
私が雨宿りをしていた森の木蔭で、目の前の木の葉の下枝に
二羽の小鳥が、いかにも雨宿りといった感じで並んで寄り添いながら、
クチバシを合わせている様子を見ました・・・
なんとも微笑ましく、羨ましく (笑) 、少しホッとした事を覚えています。
狭い岩場の山道にさしかかると、いつしかそこには谷川のように雨水が
流れています・・・
少し霧がでてきたようです・・・
山道にはみ出したモチツツジが、薄霧の森の中でピンクのきれいな花を
咲かせています・・・
私はその枝を手で抑えて避けながらそこを通ると、何と跳ね返ってきた
枝の水滴が一気に飛んできて、メガネはまた水浸しで前が見えない・・・
散々です(笑)。
やがて海の見える丘に着くと、そこは全くの霧の中で海どころか雲海の
中、と言った感じです・・・
私はそれまでさしていた傘をたたみ、近くのクヌギの大木の下で静かに
目を閉じてみました・・・
こんな時は春雨を浴びても気持ちのいいものです。
雨の森に入ると、私は時々森のコンサートに耳を澄ますのです。
すると、今まで傘に当る雨音ばかり聞いていたのが、雨のあたる音にも
いろんなリズムがあることが分かってきます・・・
打楽器、管楽器、弦楽器・・・ と いろいろです。
いろんな葉っぱ・・・大小・厚さ・形・向き・高低、それにさまざまの木や枝の
太さや固さ・・・それに草花も落ち葉も・・・ みんな違うから当然同じ音など
無いんだな・・・
それに風、今日は雨の他に霧も演出効果で参加しています。
それらが雨に反響して作り出す森の音色が響くと・・・
まさにそれが森のシンフォニーなのです・・・ 現代音楽の新交響曲?
それを観客一人で聴いている・・・ なんと贅沢な一時だろうか・・・
やがてリンボクの大きく繁った森を、六箇山へ向かって登っていきます・・・
雨が小降りになりました・・・
途中振り返ると、今 登ってきた道が霧の中で全く見えなくなっている・・・
そして、これから登る先の道も霧でかすんでいる・・・
しかし、なんと言う幻想の世界なのだろうか・・・
まるで夢の中にいるようなフワフワとした・・・ まさに別世界の情景です・・・
ゆっくりゆっくりと足元を確認しながら登り、やっと六箇山(395.8m)に到着
です・・・
この周辺の森を整備しているボランテイアの方々が、その間伐材で手作り
した木のベンチとテーブルで一休みです。
今日は休日というのに、この雨と霧では当然といえるかもしれませんが、
人一人とも会うことはありませんでした。
下りは東尾根から中尾根へより慎重に、さらにゆっくりと一歩一歩確かめ
ながら降りてきました・・・
また雨足が早くなってきました・・・
ふっと立ち止り森の中に目をやると、岩場には水溜りはあるものの、この
ザーザーザーと降り続く雨水が、森の中にもらさず吸い込まれていく
様子が分かります。
フカフカの何層にも積もった落ち葉の林床・・・ そしてその山土の中へ、
もらさずにしっかりと染入っています。
樹木の幹を流れ落ちるもの、広げた枝葉を伝ってその雨水は全て根元に
吸い込まれていくようです。
雨は生きとし生けるもの、全ての生物の自然の恵みであることを改めて
実感します。
私はしばし、そんな自然の営みごとを眺めてたたずんでいました。
霧に包まれた雨の森の中・・・
何か詩的なものを感じますが、貧才の私にはその適切な詩的表現が
できません・・・ (笑)
でも、自分が肌で感じたその安らぎや癒しに感動し、更にいろんな思いや
肌で感じてきた事は、自分が理性でなく感情の赴くままに、雨と霧の森の中に求めていた私だけの心のポエムなのかもしれません・・・?
ハックション・・・!
08-5・11 (完)