ユーロ圏の危機国を支援する救済基金「欧州安定メカニズム(ESM)」は8月19日、ギリシャに今後3年間で最大約12兆円の新たな支援を行うことを理事会で承認した。ギリシャはこの資金を欧州連合(EU)から受けた融資の返済などにあてる。財政破綻の危機は当面回避されたことになるようだ。
そもそもギリシャの経済危機はなぜ起こったのか。ギリシャ人は余り働かない、納税意識が低い等のマイナスイメージが流布している。世界銀行の統計によれば、14年の一人当たりの国内総生産(GDP)は、ギリシャでは約270万円とドイツの半分以下と報告されている。原因は労働生産性の悪さや公務員の非効率な働き方にあるとのことだ。これでは、ギリシャ人は怠け者と烙印を押されても致し方ないだろう。
文芸・批評家の池澤夏樹氏によれば、ギリシャ人は怠け者ではなく、統制を嫌う気質で、組織の一員として力を発揮できないとのことだ。ギリシャは、これまでの政権の人気取り政策のため公務員の数が他の国に比べ圧倒的に多いようだ。公務員は組織的に動いて力を発揮するはずであるが、組織されるのをいやがるようであれば、困ったものである。
ギリシャ人が楽天的で陽気なのは、ラテン系の特徴かと思っていたが、ギリシヤ人は言語的にも宗教的にもラテン系には含まれないようだ。しかし、その気質には地中海沿岸の温暖な気候を享受するラテン系と共通のものがありそうだ。
現在EUを引っ張るのは独と仏であるが、主としてメルケル首相率いる独である。独はもともと長子相続の直系家族で、個々人はかっては家族に、今日では集団に入る価値観が強く、組織として動くことが得意である。独人の多くはギリシャ人の協調心の無さを快く思っていないのであろう。メルケル首相はギリシャに財政の建て直しを強く迫っているが、ギリシャはなかなか言うことを聞かない。日本人も組織的に動くのを得意とする点では独にそっくりであり、ギリシャ人を理解するのは難しそうである。
ヨーロッパは、狭い国土に多数の民族がひしめき合い、第2次世界大戦までは、紛争が絶え間なかった。この反省を踏まえECが誕生し、EUに発展し今日がある。気質の異なるゲルマン系とラテン系が曲りなりにも平和裏にやってこられたのは、このような努力のお蔭と思われるが、EU分裂を予言する論者も多い。
国内経済引き締めを条件に欧州連合(EU)から巨額の金融支援を受け、議会が解散され、9月20日に総選挙が行われる。チプラス政権は、経済引き締めに反対して政権に付いたが、公約を無視してEUの支援を受けた。経済危機の再燃を防ぐには、引き締めを実行できる安定政権の樹立が不可欠だ。その実現の可否が、ギリシャと EU の将来を大きく左右しよう。(犬賀 大好-160)
そもそもギリシャの経済危機はなぜ起こったのか。ギリシャ人は余り働かない、納税意識が低い等のマイナスイメージが流布している。世界銀行の統計によれば、14年の一人当たりの国内総生産(GDP)は、ギリシャでは約270万円とドイツの半分以下と報告されている。原因は労働生産性の悪さや公務員の非効率な働き方にあるとのことだ。これでは、ギリシャ人は怠け者と烙印を押されても致し方ないだろう。
文芸・批評家の池澤夏樹氏によれば、ギリシャ人は怠け者ではなく、統制を嫌う気質で、組織の一員として力を発揮できないとのことだ。ギリシャは、これまでの政権の人気取り政策のため公務員の数が他の国に比べ圧倒的に多いようだ。公務員は組織的に動いて力を発揮するはずであるが、組織されるのをいやがるようであれば、困ったものである。
ギリシャ人が楽天的で陽気なのは、ラテン系の特徴かと思っていたが、ギリシヤ人は言語的にも宗教的にもラテン系には含まれないようだ。しかし、その気質には地中海沿岸の温暖な気候を享受するラテン系と共通のものがありそうだ。
現在EUを引っ張るのは独と仏であるが、主としてメルケル首相率いる独である。独はもともと長子相続の直系家族で、個々人はかっては家族に、今日では集団に入る価値観が強く、組織として動くことが得意である。独人の多くはギリシャ人の協調心の無さを快く思っていないのであろう。メルケル首相はギリシャに財政の建て直しを強く迫っているが、ギリシャはなかなか言うことを聞かない。日本人も組織的に動くのを得意とする点では独にそっくりであり、ギリシャ人を理解するのは難しそうである。
ヨーロッパは、狭い国土に多数の民族がひしめき合い、第2次世界大戦までは、紛争が絶え間なかった。この反省を踏まえECが誕生し、EUに発展し今日がある。気質の異なるゲルマン系とラテン系が曲りなりにも平和裏にやってこられたのは、このような努力のお蔭と思われるが、EU分裂を予言する論者も多い。
国内経済引き締めを条件に欧州連合(EU)から巨額の金融支援を受け、議会が解散され、9月20日に総選挙が行われる。チプラス政権は、経済引き締めに反対して政権に付いたが、公約を無視してEUの支援を受けた。経済危機の再燃を防ぐには、引き締めを実行できる安定政権の樹立が不可欠だ。その実現の可否が、ギリシャと EU の将来を大きく左右しよう。(犬賀 大好-160)