「積極的平和主義」を御旗に、安全保障政策の大転換を安倍首相は目論んでいる。自衛隊を世界各地に派遣して戦争を抑止するのが積極的平和主義と思っているようだ。
一方、ノールウェーのヨハン・ガルトゥング博士は半世紀前から「積極的平和」を提唱しているのだそうだ(朝日新聞2015.08.26)。博士によれば、憲法9条にしがみついて何もせず、戦争の無い状態を保つのを「消極的平和」と称し、貧困や差別といった原因から発生する国際紛争を積極的に無くそうとするのが「積極的平和」と称するようだ。安倍首相の積極的平和主義も本当に戦争を抑止することになれば、博士の積極的平和と通ずるかもしれないが、現状では全く異なるもののようである。
博士は50年も前から「積極的平和」を提唱しているとなれば、しっかりした哲学、理念、思想に支えられているはずである。安部首相にも裏づけされる哲学はあるのであろうか。祖父である岸信介元首相が、世論の反対を押し切って日米安全保障条約の改定を行った。現在の日本の繁栄は米国に依存するところが大きいと思われるので、この条約も大いに役立っているに違いなく、大多数の日本国民もそうと信じているであろう。安倍首相のやる気は岸元首相の功績にあやかりたい一心のような気がする。
現在、シリアや北アフリカ各国から欧州を目指す難民が何十万人と話題になっているが、この難民のきっかけを作った一因は、米国の積極的平和の考えによると思われる。すなわち、民主主義は絶対的に善であるとの確信の下、独裁政治に抑圧される人民に民主主義をもたらそうと政治的、軍需的に介入し、その後の大混乱を引き起こし、大量難民を生み出したわけだ。ヨーロッパ諸国は難民受け入れに大混乱であるが、米国も責任をとり一部受け入れるであろう。難民受け入れに関しては日本は相変わらず、難色を示すであろう。
世界には、問題が蓄積している。上記の難民問題や核廃絶問題等、積極的平和主義の出番はいくらでもあるが、安倍政権はこれらの問題に真正面に向き合う覚悟が出来ているのであろうか。
博士によれば、日本の外交問題は米国一辺倒で政策が硬直化しており、創造性がまったく無いとのことだ。博士は、例えば、ヨーロッパにおけるEUを見習い、北東アジア共同体の創設を提案している。メンバーは、日本、中国、韓国、北朝鮮、極東ロシアであり、そこで領土権を主張しあっている尖閣諸島、竹島、北方4島を共同管理する等である。
政府は8月28日尖閣諸島や竹島が日本固有の領土であることを裏付ける資料約200点をインターネット上で公開した。対外的に領有権をアピールするとともに、国民の理解を促すことが狙いであるが、中国や韓国が納得するはずが無く、刺激するばかりである。また、ロシアのモルグロフ外務次官は、9月2日、北方領土問題に関し「私たちは日本側といかなる交渉も行わない。この問題は70年前に解決された」とまで述べた。このままでは、これらの島の領有権に関しては全く展望が開けない。北東アジア共同体も一つの考えであるが、安倍首相は積極的平和主義に基づく展望を開けるのであろうか。(犬賀 大好-162)
一方、ノールウェーのヨハン・ガルトゥング博士は半世紀前から「積極的平和」を提唱しているのだそうだ(朝日新聞2015.08.26)。博士によれば、憲法9条にしがみついて何もせず、戦争の無い状態を保つのを「消極的平和」と称し、貧困や差別といった原因から発生する国際紛争を積極的に無くそうとするのが「積極的平和」と称するようだ。安倍首相の積極的平和主義も本当に戦争を抑止することになれば、博士の積極的平和と通ずるかもしれないが、現状では全く異なるもののようである。
博士は50年も前から「積極的平和」を提唱しているとなれば、しっかりした哲学、理念、思想に支えられているはずである。安部首相にも裏づけされる哲学はあるのであろうか。祖父である岸信介元首相が、世論の反対を押し切って日米安全保障条約の改定を行った。現在の日本の繁栄は米国に依存するところが大きいと思われるので、この条約も大いに役立っているに違いなく、大多数の日本国民もそうと信じているであろう。安倍首相のやる気は岸元首相の功績にあやかりたい一心のような気がする。
現在、シリアや北アフリカ各国から欧州を目指す難民が何十万人と話題になっているが、この難民のきっかけを作った一因は、米国の積極的平和の考えによると思われる。すなわち、民主主義は絶対的に善であるとの確信の下、独裁政治に抑圧される人民に民主主義をもたらそうと政治的、軍需的に介入し、その後の大混乱を引き起こし、大量難民を生み出したわけだ。ヨーロッパ諸国は難民受け入れに大混乱であるが、米国も責任をとり一部受け入れるであろう。難民受け入れに関しては日本は相変わらず、難色を示すであろう。
世界には、問題が蓄積している。上記の難民問題や核廃絶問題等、積極的平和主義の出番はいくらでもあるが、安倍政権はこれらの問題に真正面に向き合う覚悟が出来ているのであろうか。
博士によれば、日本の外交問題は米国一辺倒で政策が硬直化しており、創造性がまったく無いとのことだ。博士は、例えば、ヨーロッパにおけるEUを見習い、北東アジア共同体の創設を提案している。メンバーは、日本、中国、韓国、北朝鮮、極東ロシアであり、そこで領土権を主張しあっている尖閣諸島、竹島、北方4島を共同管理する等である。
政府は8月28日尖閣諸島や竹島が日本固有の領土であることを裏付ける資料約200点をインターネット上で公開した。対外的に領有権をアピールするとともに、国民の理解を促すことが狙いであるが、中国や韓国が納得するはずが無く、刺激するばかりである。また、ロシアのモルグロフ外務次官は、9月2日、北方領土問題に関し「私たちは日本側といかなる交渉も行わない。この問題は70年前に解決された」とまで述べた。このままでは、これらの島の領有権に関しては全く展望が開けない。北東アジア共同体も一つの考えであるが、安倍首相は積極的平和主義に基づく展望を開けるのであろうか。(犬賀 大好-162)