日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

イスラム国の存亡

2015年09月26日 09時36分03秒 | 日々雑感
 過激派組織「イスラム国」は反対派を虐殺したり、古代遺跡を破壊したりその凶暴さは目に余るが、一向に勢力拡大が止まらないらしい。現在イラク、シリア両国にまたがる支配地域を維持し、米軍がイラク領内で空爆を開始して1年、計6千回以上の空爆でも弱体化に至らず、更に中東や北アフリカではシンパによるテロが続発しているとのことだ。
 最近では、治安悪化のイスラム国や北アフリカからの難民が大挙してドイツを始めとするEU各国に押し寄せ、大問題となっている。米国も2年間20万人の受け入れを表明、南アメリカの各国も受け入れを表明している。積極的平和主義を掲げる安倍政権も対岸の火事と見つめているだけでは、先進国の仲間に入れてもらえない。
 問題は大きいが、それに対する対処策は、ひたすら「イスラム国」をつぶそうとすることだけである。イスラム教は、16億人の信徒があると推定されており、キリスト教に次いで世界で2番目に多くの信者を持つ宗教である。イスラム教徒が居住する地域は現在ではほぼ世界中に広がっており、一部に石油のお蔭で金持ちはいるが、概して貧困である。この格差や貧困がテロを引き起こす大きな要因であろう。イスラム教の経典であるコーランには信徒間の平等が記されており、格差の拡大には猛反対のはずであるが、サウジアラビア等の金持ち国家は富を独占し、貧困層には冷淡なようであり、困ったことである。
 イスラム国の遺跡破壊はコーランが偶像崇拝を禁止する教えからだそうだ。しかし、教えが無くても、遺跡は時の権力者が力で集めた富により作り上げた物と見なせば、現在差別に泣く人々は権力者憎しで、破壊したくもなるであろう。また、虐殺にしても米国の無人機等による無差別攻撃に比較すれば、女子や子供の死亡は数的にははるかに少ないそうだ。言い分にも一理ある。
 インターネットの普及が世界の出来事を即座に拡げるため、社会に不満を抱く人々を増やしているのは間違いないであろう。情報の普及が社会の不安定化を引き起こしているのだ。「イスラム国」への同調者がイスラム教圏からばかりでなく、ヨーロッパ各国から出ているのもこの為であろう。
 従って米国主導の有志連合により例え「イスラム国」が滅ぼされたとしても、社会的不満をなくさない限り、その根は世界中にはびこっていくであろう。日本も集団的自衛権の行使が可能になり、後方支援と言いながらも積極的にイスラム国と敵対すれば、テロの標的は日本の国内にも及ぶであろう。テロリストは港や飛行場か入ってくるとは限らない。日本には世界有数の海岸線がある。また、テロリストが日本人では無いとの保証も無い。安保関連法案の成立により、これで日本は安全になったと喜んでいる人もいるが、リスクは中国や北朝鮮ばかりでないことを忘れてはならない。(犬賀 大好-167)