日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

林業による地方の活性化は可能か?

2018年08月01日 09時44分21秒 | 日々雑感
 日本国土の2/3は森林で、天然林と人工林はほぼ半々だそうだ。人工林は先人が苦労して植林し、育てた森林だ。日本は資源に恵まれていないと言われているが、森林資源は豊かである。しかし、ほとんど有効活用されていないのも事実である。

 杉はスギ花粉によるアレルギー症ですっかり悪者にされ、さらに最近では、異常気象により山肌に土砂崩れが起きると、土砂と共に大量の木材が流れ下り、災害の規模を大きくする原因とまでとなり、悪者扱いもされる。

 森林は、水源の涵養、地球温暖化の防止、多様な生物の保全、木材等の林産物供給など多面に機能を有しており、多くは存在するだけで国民生活に様々な恩恵をもたらしてもいる。しかし、森林も適度に手入れをしないと、密生や倒木で豊かな森を荒廃させる結果となるので、放たっらかしにしておけない。。

 適度な管理とは、下草の整理、下枝の伐採、間伐、倒木の整理等であろうが、これらをするだけでも結構な費用を有する。この資金をひねり出すためにも、豊富にある森林資源をもっと積極的に生かす方法は無いだろうか。間伐材の有効利用に関しては、各地で色々な取り組みがあるようであるが、まだ散発的である。

 林野庁のホームページによれば我が国の林業産出額は、近年は約4,000億円前後で推移しているそうだ。天下のトヨタ自動車の売上高が30兆円に迫ろうとしているのに比べれば、微々たるものだ。しかも木材生産額と栽培きのこ類生産額がほぼ半々とのことである。

 きのこの栽培が盛んになっているのは喜ばしいことであるが、逆に本来の木材自体の利用がほとんど無いことも意味している。

 元凶は木材価格の低迷にある。木材価格は高度経済成長に伴う需要の増大等の影響により1980年にピークを迎えた後、木材需要の低迷や輸入材との競合等により長期的に下落傾向にあるそうで、林業は風前の灯的な印象が強い。この状況下では若者も集まらない。

 同ホームページでは、林業全般にわたる現状と課題を適確に把握した上で、林業の採算性の向上、木材加工・流通の効率化、新たな木材製品の開発、木質バイオマスのエネルギー利用等を促進していく必要を訴えているが、国の政策との関係で見ると、連携は薄く、見通しは極めて暗い。

 最近、世界の経済のグローバル化の流れを象徴するTTPや日欧経済連携協定(EPA)において、木材の輸入関税の削減、撤廃が謳われており、日本木材の競争力は苦しくなる一方である。

 また、農林省は、バイオマスの活用を推進することによって 約5,000億円規模の市場を創出するとの目標を掲げているが、国が作成したエネルギー基本計画では、バイオマス発電は、取って付けたように循環型経済の実現に向け、森林資源の有効活用・林業活性化の推進をはかるとしているのみで具体性に欠ける。

 一方世界的に、破棄されたプラスチック製ゴミが環境、特に海を汚していると話題になりつつある。プラスチックは現代化学が生み出した便利な材料であるが、その弊害も目立ってきた。

 プラスチック製品の代替えに木製、あるいはパルプ製品に替える取り組みは、既に外食産業におけるストローの使用に見られる。そのうちコップやお皿も木製、パルプ製代わることになるだろう。

 また、東京立川市の町工場、福永紙工が”空気の器”と称する紙を加工して立体化させる技術を活用してヒット商品を連発しているとの報道があった。木材の使用を促進する素晴らしい技術だ。

 木は金属に比べ強度が弱い。しかし、金属と組み合わせれば、構造材として使用できる。新国立競技場には木材がふんだんに使用されているとのことだ。東京オリンピックを契機に木材が見直されることを切に願う。

 木材は日本の何処でも入手できる資源であり、地域興しの役にも立つ。アイデア次第で有効に利用できる筈だ。2018.08.01(犬賀 大好-464)