読売新聞社が11月中旬に世論調査を実施した。政権よりの報道が多い同社の調査ですら、岸田内閣の支持率は内閣発足以降最低の24%となり、1か月前の調査の34%から10ポイントも下落したそうだ。政府の経済対策への不満や政務三役の相次ぐ辞任等が不人気の原因と思われ、岸田首相の下では年内はもちろん来春の総選挙も無理との声が政界で高まっているとのことだ。
そこで、総裁の顔を代えて総選挙に臨む声が出始めたようであるが、ポスト岸田の本命候補が見当たらないようだ。茂木幹事長や岸田派の林芳正氏の名前が挙がり、そこに岸田第2次改造内閣で外相に任命され、国際会議で活躍している上川陽子氏が加わっているようだが誰も積極的に手を上げていない。肝心の最大派閥の安倍派は政治資金問題が浮上して右往左往しそれどころではないようだ。
今年8月に実施された世論調査で、ポスト岸田にふさわしい自民党議員について聞き取りしたところ、1位・石破茂元幹事長、2位・河野太郎デジタル相、3位小泉進次郎元環境相……といった順番で岸田首相は5位でだったそうで、政界と国民の声と大きく乖離している。この上位3人は小石河連合と呼ばれ国民的な人気があっても、自民党内では余り人気がなく、現在の政治システムの中ではポスト岸田になれそうにない。このような自民党の危機的状況を自民党の大ベテランで古だぬきと言われる二階元幹事長や菅前官房長官がどう動くか気になる所である。
さて、国民的な人気があっても永田町では不人気の石破茂元幹事長であるが、最近岸田内閣で更迭された閣僚や副大臣の後任に、石破氏がかつて率いた旧石破派の所属議員を充てるケースが目立っている。税金滞納を繰り返した神田前財務副大臣に代わりに赤沢元内閣府副大臣が、買収容疑の柿沢前法務副大臣の後任に門山法務副大臣が、死刑を軽んずるような発言をした葉梨元法相の後任に斎藤前法相が起用された。旧石破派は安倍晋三政権下で安倍氏に代わる対抗軸の結集を掲げて結成され、主流派ににらまれても、自説を押し通す政策通が多い。同グループは現在10人程度で衆参で約380人の自民議員の中では圧倒的に少人数だが、今回の不祥事で3人も登用されたことから旧石破派の存在を再認識させた。
石破氏が首相になるためには、まず自民党の総裁になる必要がある。このためには総裁選挙における推薦人を最低20名を集める必要があるが、他派閥からも応援を必要とする。自民党は派閥の力が強いため石破氏の立候補には第1の高いハードルとなる。安倍長期政権が実現出来たのも党内最大派閥を構築したせいであろう。この派閥の力は安倍一強体制を固め、異次元金融緩和で国の借金1千兆円越えや、政治資金に関わる諸問題を噴出させた。
派閥の力を最も発揮するのは首相指名選挙であるが、米国の大統領の選出のように直接国民投票制にしたらどうであろうか。首相候補も派閥の意向に左右されず、国民にもっと顔を向けることにないかと密かに期待する。2023.12.02(犬賀 大好ー965)
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