国会議員が関係する政治団体の2021年分の政治資金収支報告書から、430人の国会議員が代表を務める433の政党支部が、少なくとも1万2千の企業・団体から計約34億円の献金を受けており、総額の9割が自民の支部だったことが分かったそうだ。政党支部とは総選挙の立候補予定者の多くはそこの支部長という肩書を持っており、個人と支部長の区別がよく分からなくなっている。
企業・団体から政治家個人側への献金は癒着を防ぐため禁止されているが、支部長と個人の明確な区別は出来ず、政党支部への献金は規制外で抜け穴だとの指摘がある。そもそもこの制度は、国会議員が抜け穴の存在を十分承知した上で制定したのだろうから、どの国会議員も抜け穴と承知の上で安心して利用しているに違いない。
政治資金収支報告書を義務付ける政治資金規正法は 、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することを目的とした法律で、国庫から交付される資金政党交付金制度と合わせ、政治資金の流れの透明性を確保する筈であったが、いつの間にかこの抜け穴を利用した裏金作りが横行するようになっていたようだ。裏金の使い道は、ほとんどが個人の遊興費として飲食代、ゴルフ代、マージャン代等に使われるとのことで、選挙民とのコミュニケーションの為との言い訳は見え透いている。
国会議員の節操の無さはこの政治資金問題ばかりでなく各所に見られる。2019年7月の参院選広島選挙区において当選した河井案里被告は公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けているが、その夫で元法相の衆院議員・克行被告は案里被告の票をとりまとめるために、地元議員ら計100人に計約2900万円で買収した公職選挙法違反の罪で懲役3年の実刑判決を受けている。法律の元締めの法務大臣が順法精神を欠いていたとは、その他の国会議員の順法精神の欠如は推して知るべしである。
東京都江東区長選の公選法違反事件で自民党の法務副大臣だった柿沢衆院議員が、今年4月の区長選で木村前区長陣営のスタッフらに現金を配ったとし東京地検特捜部は捜査した。河井夫婦の買収事件が記憶に残っているのにそれを繰り返すとは、国会議員の間ではこのような行為が日常的に行われているとしか思えない。
このような国会議員の国民を愚弄する行為の原因は様々だと思うが、一つには世襲議員の増加にあると思う。その典型が岸田首相の長男で秘書官であった翔太郎氏である。氏は現在議員ではないがその内父親の後を継ぐと見られている。彼は、昨年末親族らを首相公邸に招いて忘年会を開催し公私混同を指摘された。彼に限らず親の七光りで現在の地位にあることを忘れ、軽率な行動や発言をして批判されることが多い。
また安倍長期政権も大きな原因と思われる。長期政権だと人事が安定する為仲間意識が強くなり、君がやるなら俺もやる的な傾向となり、罪の意識が薄くなるからだ。先述の政治資金に関する不祥事はまさに長期政権の弊害であろう。
2023.11.29(犬賀 大好ー964)
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