日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国経済の立て直しのための融和外交は一時的な姿勢に過ぎない

2024年03月23日 10時21分34秒 | 日々雑感
 中国のGDPは1990年以降約25年間10%前後の高い成長率を誇ってきたが、2020年にはコロナ禍で2.2%と急落した。その後経済の立て直しを急ぎ、今年の中国の国会にあたる全人代では去年と同じ5%前後の高い経済成長率を目標としたが、若者の失業率増加、デフレの兆しなど失速する中国経済の厳しい実態は、かつて日本が経験した、バブル経済崩壊後と同様になりそうだ。

 中でもGDPの4分の1を占めると言う不動産市場は泥沼状態の不況に陥っている。主要都市の多くで、住宅価格の下落に歯止めがかからない状態となっており、中国の不動産大手・恒大集団が香港の裁判所から会社を清算するよう命じられているが、中国本土ではそこまで至っていないが不振に喘いでいることは間違いないだろう。加えて、不安定な経済状況を反映し若年層を中心に就職難が加速し、去年6月には若者の失業率が21.3%と過去最悪を更新したそうだ。

 中国経済の苦境の原因の一つは消費の低迷だそうだ。中国の国内事情はかっての日本同じデフレ状況になっており、賃金は上がらず国民の購買力が減っている。それが景気に悪循環をもたらしているのだそうだ。北京では、激安ファストフード店が連日にぎわいを見せているそうだ。

 日本のデフレ脱却は赤字国債の発行による経済への刺激策であるが、その結果国の借金は1千兆円を越しGDP比で約260%となってしまい、最近デフレ脱却となりそうな情勢とはなっているが厖大な負の遺産に今後苦しむことになるだろう。中国の債務残高は公式には約77%としているが、“地方政府の隠れ債務”があると言われており、それを足すとおそらく数年後には150%と程度になる見込みだそうだ。それでも日本よりマシな気がするが、そんな表に出ていない債務が経済の足を引っ張っている状況にあり、経済の立て直しは容易ではなさそうだ。

 更に中国は厖大な人口のため1970年代から30年以上一人っ子政策を取ったが、最近その影響で子どもの数が非常に減っており、2022年末時点で、中国にとって61年ぶりの人口減少になった。世界一の人口大国である中国は初の人口マイナス成長を迎え、人口増による景気促進効果の人口ボーナスはなくなりつつあり、これも経済低迷の原因だそうだ。

 また、中国はこれまで外国資本を積極的に導入し経済を盛り上げてきたが、今は海外の企業が習近平政権の締めつけ政策により“撤退”とは言わないまでも“様子を見る感じ”になっており、これも経済低迷の原因となっているのだそうだ。

 中国政府はこれまで国内の混乱を外部に敵を作ることにより国内を纏める戦略を取っていたが、経済浮上のため最近は習近平国家主席は中国の外交を融和的な方向へ変えつつあるのだそうだ。緊迫化する中東情勢への対応に専念したい米国とすれば、こうした中国の姿勢は大歓迎だが、ただ複数の専門家の話では、中国の軟化は長期的な外交政策転換のシグナルとは言えず、すぐに従来の様々な国際的軋轢が復活する公算が大きいと述べている。
2024.03.23(犬賀 大好ー993)


コメントを投稿