外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は10月18日、技能実習に代わる新制度を提案した。この案では、就労から1年を超えれば転職を認める案が示されている。さて2023年6月末で技能実習生は35万8159人いるが、2022年には9006人が本来の実習先から失踪したそうだ。現在の実習制度では職の移動は認められておらず、来日前に本国の悪質なブローカーに多額の手数料を支払うなどして借金を抱えている場合、高賃金の働き口を求めて失踪するケースが多々あるそうだ。
厚労省によると、技能実習生の22年6月の平均月収は17万7800円で、外国人労働者の平均(24万8400円)よりも低い。企業の倒産や人権侵害などやむを得ない場合に限って転職を認めているが、技能実習生は原則転職できない。労働基準法は長期の労働契約でも就労開始から1年経過すれば、いつでも退職できると定めておりこれに準じ、新制度は条件付きで転職を認めるようだ。
この制度に先立ち特定技能制度を設けており、家族を呼び寄せ永住することも条件は厳しいが可能となっている。これまで日本は移民制度を認めていないが、これらの制度改革により、日本も移民制度は徐々に緩和していくと思われる。
国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に公表した日本の将来人口推計では、中位仮定の下で、2070年の人口は8,700万人と、2023年の推計値1億2,441万人から30%の大幅減少となるとされた。岸田首相も日本の人口減少に危機感を覚え子育て支援制度を推進しているが、余り本気度が伺えないし、例え出来たとしても現在の人手不足に対処するには時間がかかり過ぎる。
有識者による令和臨調は今年6月、人口減少下で日本社会の未来像を提案する呼びかけ第一弾「人口減少危機を直視せよ」を公表した。この中で、「もはや少子化対策だけでは日本の急激な人口減少を食い止めきれない」として、外国人の積極的な受け入れを、人口減少への対応策として打ち出している。
隣の国韓国も日本同様に人口減に悩んでいる。韓国の若者の間でも結婚や子育てへの関心が薄れている中、外国人労働者を呼び入れて、家事の負担を担ってもらうという新たな政策に乗り出したそうだ。家事や子育ての負担の大きいことは、以前から韓国の結婚率や出生率の低下の要因に挙がっており、外国人による家事労働支援が望まれていた。
日本の特定技能制度では12の分野と決まっており、そこには家事労働者は含まれていない。韓国の外国人受け入れ可能職種を十分把握していないが、今回家事労働まで検討課題にしているとは、この点韓国の方が外国人を受け入れる分野が広そうである。近い将来、日本と韓国間で外国人を受け入れる競争が激しくなりそうであるが、日本は現在異常な円安状態であり、この点だけでも日本は劣勢に立たされている。2023.10.21(犬賀 大好ー956)
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