ウクライナ東部ドネツク州の親ロ派の幹部は3月17日、激戦が続く街バフムトの6~7割をロシア軍が支配したと主張した。プーチン大統領は来年の大統領選挙を控え戦果を焦っており、バフムト攻略に的を絞りロシアの正規軍のほか、民間軍事会社ワグネルの戦闘員を投入し猛攻激して支配を狙ったようだようだ。一時期バフムトからウクライナ軍が撤退するのは時間の問題だとの報道も流れた。
しかし英国防省の17日の分析では、バフムト周辺のロシア軍が戦闘力を消耗し、3月18日現在膠着状態が続いているとの報道もあり、しかも最近の報道では西側諸国からの支援を受けたウクライナの反転攻勢が強くなっているとのことだ。
ところで中国の習近平国家主席が3月20日から3日間の予定でロシアを訪問し、空港で書面による談話を発表したが、ロシアと中国の親密なる一層の関係発展を期待する等の文言だけで、ウクライナに関するコメントは無かったようだ。
習氏が同国を訪問したのはロシアによるウクライナ侵攻が始まってから初めてであり、”ウクライナ危機の政治的解決”を呼び掛ける文書を公開しているが、ロシアを利する内容で反ロシア勢力が到底納得するはずがなく、今回の会談でも、新たな提案があったようには伝えられていない。
今回の訪問は恐らくプーチン氏にとっては戦争打開のための支援の依頼であり、習近平氏にとっては中国の人民元経済圏構想の下準備だとのことだ。現在のロシアは、欧米から強烈な経済制裁を受け、中国とインドに頼ることで、何とか生きながらえている状態だそうだ。一方習近平主席は、政権を発足させた2013年の秋、米国に対抗する一帯一路という広域経済圏構想を提唱した。
今回のロシア訪問は、中国にとって「紛争は最終的に対話と交渉で解決する必要がある」と主張しつつ、あからさまなロシアへの経済・軍事支援を約束していないようだ。裏で何が約束されているか不明であるが、ロシアの人民元経済への巻き込みを画策しているのは間違いなさそうである。
さて日本の岸田首相は21日、ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。その後の共同記者会見で岸田首相は、殺傷能力のない装備品などを供与すると表明し、一方ゼレンスキー大統領は、5月の主要7カ国(G7)広島サミットにオンラインで参加することを明らかにし、訪問成果を誇った。
更に、これまでに決定や表明をしている総額71億ドルのウクライナへの支援を着実に実施するとした上で、新たに、北大西洋条約機構の基金を通じて3000万ドルを拠出するほか、エネルギー分野などでの新たな無償支援として4億7000万ドルを供与すると明らかにした。
ウクライナは米国やNATO諸国、更には日本からも様々な支援を受けているが、ロシアへの支援を大ぴらに行っているのは北朝鮮やイラン位であり、中国やインドの大国は米国への配慮から遠慮がちである。ロシアは追い詰められているが、プーチンは音を上げない。2023.03.25(犬賀 大好ー900)
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