日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

世界の覇権は軍事力でのみ決まるか

2019年10月09日 09時47分04秒 | 日々雑感
 中国は10月1日、建国70周年を記念する軍事パレードを行い、初公開の最新兵器も多数公開し、世界最大級の軍の能力を世界に見せつけた。習主席は演説で、中国国民と国家の前進を止めることのできる力は何処にもない、と強調するとともに、今後数十年かけて軍事力を更に近代化することも宣言している。中国は軍事力の強化で世界の覇権を狙っているように見える。

 また、アメリカはロシアとの間に結ばれていた中距離核戦力(INF)全廃条約を今年破棄した。理由はロシアがこの条約を守っていないからとのことであったが、この条約に縛られない中国の躍進があったことも背景にあるだろう。条約の破棄にロシアもすぐに続き、世界のトップクラスの軍事大国の間で軍拡競争が始まった。

 軍拡はこれまでの陸・海・空に留まらず、宇宙空間にまで広がっている。中国は、米軍の主要なインフラである人口衛星を狙った衛星破壊兵器の開発を積極的に推進しており、米軍が危機感を強めているのは確実だ。また、今年始めには、無人探査機を世界で初めて月の裏側に着陸させる等、宇宙での技術を格段に進歩させている。

 これに反応し米トランプ政権は今年始め、新たなミサイル防衛戦略を発表し、宇宙領域での軍事活動を統括する宇宙軍を9月末正式に発足させた。中国やロシアが宇宙の軍事利用を活発化させる中、宇宙軍はこうした脅威に対抗するための軍との位置づけだ。

 中国の台頭は軍事面ばかりでなく情報通信技術(IT)関連でも著しい。中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)が次世代通信5Gを基にした新しいIT産業体系を構築し、世界に定着させつつある。これに慌てた米国は、ファーウェイ排斥運動を始め日本にも協力を求めている。

 また9月19日、ファーウェイは、ドイツで新型スマートフォンを発表した。しかし、このスマートフォンでは米グーグル製のYouTubeやグーグルマップといった人気アプリを米国の制裁により、使用出来ないようだ。しかし、ファーウェイは、これらのアプリを使用できなくても同社による代替アプリを4万5000本を用意し十分対抗できると強調している。その内、アプリばかりでなくOS開発も手掛けるようになるかも知れない勢いである。

 更に中国版全地球測位システム(GPS)「BeiDou」に使われる衛星稼働数が2018年に米国製を抜き、世界3分の2の国の上空で最も多くなっているのだそうだ。中国版GPSはAndroid端末に関しては普及価格帯モデルでも殆どの端末で使用できるようだ。

 一方iPhoneでは、各国のGPS、すなわち日本の準天頂衛星みちびきや、ロシアのGRONASS、EUのガリレオなど幅広く対応するにも関わらず「BeiDou」には対応していないようだ。「BeiDou」を安全保障上の脅威とみなす米政権に協力していると思われる。

 情報通信分野での米国と中国の争いは、単に自国内だけでなく世界を如何に味方に取り込むかが勝負を決める。この点でかっての軍事大国ロシアの影は薄い。

 現在、仮想通貨による金融革命が世界的な規模で拡大しようとしている。この革命は始まったばかりで、今後どのように変遷するか分からないが、現在世界中の外国為替市場で主要通貨としてもてはやされるドルや元の概念が無くなり、ある種の仮想通貨で統一されると予想する人もいる。

 世界の経済がある種の仮想通貨で統一されるとなると、世界の覇権とは何だろうと考えてしまう。2019.10.09(犬賀 大好-538)


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