日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

黒田日銀総裁もついに方向転換か

2022年12月24日 09時42分03秒 | 日々雑感
 日銀は11月19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大するとのことだ。金利とは何の関係もなく生きている高齢者にはピンとこないが、黒田日銀総裁もようやく重い腰を上げたようだ。岸田首相の反撃能力の保有や原発回帰に対する程では無く、予想されてはいたが大きな方向転換だ。

 総裁は記者会見で今回の長期金利の変動幅の拡大について、「市場機能の改善をはかるためであり、利上げではない」と説明したが、経済素人には変動幅の拡大が市場機能の改善とどう関係するのか理解できない。

 長期金利の変動幅の拡大は企業が社債などで投資家から資金を集め易くなるとのことらしいが、金利の上昇は国債の利払いに悪影響するとの識者の主張があったが、その点に関しては何も語っていない。総裁は今回の処置は利上げでないと強弁したが、この悪影響の話をそらすためであったと勘繰ることも出来る。

 日銀は、一方で急激な金利上昇を防ぐため、国債買い入れ額を来年1~3月は現在の月7.3兆円から9兆円程度に増額する方針を示したが、これも金利が低い間に沢山買って貰おうとする魂胆であろう。なお、短期金利をマイナス0.1%とする政策は維持したが、ゼロ金利政策の弊害は大きく、今回の長期金利の方向転換は近い将来短期金利にも及ぶであろう。

 金融市場は、日銀が金利上昇を容認したとして、金融緩和策の修正とみなしたが素人目にも当然だ。発表直後、当然ながら長期金利は従来の上限である0.25%程度から一時0.46%まで上昇した。金利上昇の狙いは、企業が日銀から金を借りにくくする処理であり、景気悪化のリスクがあると説明される。すなわち、企業や家計の利払い増加につながり、住宅ローン金利などに影響が及ぶであろう。

 20日決定した金融政策の一部修正が金融緩和を縮小する出口戦略につながるのかという質問に対して総裁は「今回の措置は、出口戦略の1歩というものでは全くない。いまは経済をしっかりと支えて賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現するために金融緩和を継続することが適当だ」と述べた。

 黒田総裁は2013年の就任当時、デフレ脱却に向けて金融緩和は2%の物価上昇率が目標だと説明し、非常に分かり易かった。しかし、その後説明がどんどん複雑になり、物価上昇率が2%になっても、持続可能性が低いとか、賃金上昇が伴わないからと言って金融緩和を引き延ばし、今回の言い訳になった。

 黒田総裁も現時点でデフレではない状態を実現したと公言しているが、どちらかと言えばデフレを通り越しインフレ状態であろう。総裁任期は来年の3月いっぱい。異次元金融緩和の成果は失敗だったとの声が強いが、次の総裁のために異次元金融緩和の終了の環境を整え出したのではないだろうか。2022.12.24(犬賀 大好ー874)


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