文科省は、今年10月に”令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果”を公表した。小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)で、児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は25.7人となり、9年連続で増加し過去最多となったとのことだ。
不登校の生徒とは、年間30日以上登校できなかった児童生徒のことを指すようだ。不登校はいじめが原因と思っていたが、最近は担任の先生でも原因がよく分からず対処するのに困惑しているのだそうだ。
コロナの感染対策による行事や部活動の制限等により、学校がつまらない場所となっていると同時に共働き家庭の増加により家庭が逃げ場所になっているからではないかと推測する先生もいる。
また、従来学校は自主性と協調性を身につけるため行かせるものだと言う考えがあったが、最近、このまま無理して学校に行かせてしまうと、もっとひどいことになるという認識が、学校や家庭の間で広がったことが理由としてあげられるそうだ。平均化教育を旨とする義務教育も曲がり角を迎えている気がする。
先の文科省の調査結果によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は615,351件(前年度517,163件)で、前年度に比べ2割近く増加しているようだ。いじめが問題視されるようになりいじめ対策もそれなりに施されていると思うが、決して減少している訳でなく、やはり不登校の主原因はいじめが大きいのではないだろうか。
他の不登校の原因は、無気力、非行や遊び、学業不振、親離れできない、神経症、発達障害等が考えられるようだ。発達障害とは、同じ年齢の子ども達と遊ばない、意思疎通が出来ない、教科によって極端に学習の遅れが見られる等の特徴がみられ、最近注目されるようになっている。不登校の原因であるいじめに関しては、まだ対処法がはっきりしているが無気力や発達障害等に関してはよく分かっておらず手探りの状態のようだ。
現在の日本は少子高齢化が進行し社会全体の根幹を揺るがしかねない危機的な状況となっている。政府は、来春のこども家庭庁創設に向けた基本方針を踏まえ、虐待やいじめ、貧困などから子どもを守るための政策の拡充を図る方針だ。だが、予算面の裏付けは乏しく、安定財源の確保が課題となる。防衛予算の増額に対しては増税の方向で決定したが、年1千億円程度必要な子ども関連の財源確保の目途が立っていない。
ロシアのウクライナ侵攻で防衛力強化は喫緊の課題であろうが、少子化問題は将来必ず直面する大問題だ。従って、年々少なくなる児童の中でも増加しつつある不登校の児童を健全に育成するため、専門家は当然のこと社会全体で知恵を絞るべきだ。
来春こども家庭庁の長官になる予定の小倉現内閣府特命大臣の子ども対策に関する課題はどれも重く、解決は容易ではない。しかし、現在国会では防衛力増強の陰に隠れて存在感が薄い。予算確保ためにももっと声をあげるべきだ。2022.12.29(犬賀 大好ー875)
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