先月7日から始まったイスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突による死者が双方あわせて11月1日現在、1万人を超えたそうだ。イスラエル側の死者は少なくとも1400人であるが、ガザ地区住民が圧倒的に多く、このうち40%以上が子どもだと言うことだ。イスラエル軍は1日も、圧倒的に有利な軍事力で陸と空、それに海からの攻撃を強め、北部のガザ市に隣接するガザ地区最大規模のジャバリア難民キャンプまでも激しい空爆を行ったとのことだ。
軍事衝突は、ハマスがイスラエルに大規模攻撃を仕掛けたのが切っ掛けだったが、イスラエルは圧倒的な軍事力でハマスを追い詰めている。イスラエルは「戦争は勝つことが目的でそれ以外は二の次だ。これを気に入らない人や国があるかもしれないがハマスを倒すまでは続ける」と、ある程度の市民の犠牲はやむを得ないとする考えを示している。それほどまでにハマスを憎む心がどこから生まれたのか、不思議に思う。
約2000年前、多くのユダヤ人がイスラエルの地を追い出されて、世界各国、主に欧州、北アフリカ、中東へと離散した歴史がある。離散ユダヤ人は世界各地でユダヤ人社会を築き上げてきたが、中世以来ヨーロッパの社会に根付いていたキリスト教社会の中にあって、厳しい差別や虐殺にあった。ユダヤ人を一つにまとめたのが今から2500年ほど前に成立したと言われるユダヤ教であり、最古の一神教の一つと言われている。
キリスト教を認めないユダヤ人は、信仰の違いから忌み嫌われ、土地を所有したり、職人の組合に加入したりすることを許されなかった。キリスト教徒が忌み嫌う金貸しの仕事をユダヤ人が担うようになり、金の亡者などという偏見も生まれた。有名な劇作家シェークスピアが書いた ”ベニスの商人”にもユダヤ人の強欲な高利貸しが出てくるし、ユダヤ人コミュニティは現在の米国社会でも大統領選挙に莫大な資金で影響を与えているとの話であり、金の亡者は当たらずとも遠からじの感もする。
ハマスを根絶させようとする憎しみは、このような長い苦難の歴史が影響しているのであろうが、少しでも相手の立場になって考えるとの余裕がないものであろうか。現在のイスラエルの地を紀元前に追われたからと言って、第2次世界大戦後そこに住むパレスチナ人を追い出して建国し、今なお刻々と国土を広げ続ける態度は、昔味わった我が身の苦労を挽回しようと、ひたすら世の中に復讐しているとしか思えない。
イスラエルのエルダン国連大使が、「グテレス事務総長のハマスによる攻撃は『空白』の中で起きたものではないという発言は、テロリズムと殺人に対する理解を示している」、と極めて遺憾だと評したが、今回の衝突も長い歴史の中の出来事であると理解すれば、将来どう対処すべきかの考えも出てくるであろうが、国連大使とあろう者が情けない。2023.11.05(犬賀 大好ー959)
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