日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

異次元金融緩和は既に出口に差し掛かっている

2018年08月11日 09時47分39秒 | 日々雑感
 日銀は7月31日の金融政策決定会合で、5年超続く異次元金融緩和の更なる長期化に備えることを決めたそうだ。しかし、今回の措置の本音は、金融緩和継続の強化の名目とは裏腹に、緩和の副作用への対応を主眼とした事実上の出口への模索でもあるとのことである。

 副作用の一つは、銀行は貸し出し利ざやが稼げず、国債市場は取引が低調で市場機能が低下し、株価形成にも影響を与えているとのことだ。

 現在、低金利による収益減でも金融機関が持ちこたえているのは、日本経済全体が好調で企業倒産が少ないからだそうだ。しかし異次元緩和が続いている間に、景気後退が始まる可能性があり、その時金融機関への副作用が噴出する恐れがあると識者は指摘する。

 政府は、東京オリンピックまでは何とか好景気を維持しようと無理をしている節がある。一般に大きなイベント開催の1年ほど前から景気後退は始まるらしいので、現在の好景気も残すこと1年だ。

 日銀は、異次元緩和を続けながらも副作用を減らそうと様々な工夫をしている。ゼロ%程度に誘導する長期金利の上限を0.2%程度と従来の2倍程度まで引き上げる方針、マイナス金利政策による金融機関の負担を抑える措置、ETFの購入方法を見直す、等であるが、経済素人にはその仕組みをよく理解できない。

 兎も角、異次元緩和の中身をどんどん変えているが、出口に向かっているとは、はっきり言わない、否言えないのだ。異次元緩和の終了の宣言は、金融引き締めとなり即景気後退となるそうで、恐ろしくて言えないのだが、副作用の懸念はますます大きくなっている。

 そこで日銀は2%の物価目標の旗を降ろさず、大規模な金融緩和を続けると表面上は主張する。その意思を明確に示すために、聞き慣れない”フォワードガイダンス”と呼ばれる手法を導入し、煙に巻いている。

 これは現在の極めて低い金利水準を当分の間続けると約束した事になるのだそうだ。こうして日銀が金融引き締め方向の政策修正に動くとの観測を打ち消したが、既に国債買い入れ目標80兆円/年は40兆円台に減少し、長期金利上昇を容認する方向になっている。

 今回の会合前には、物価がなかなか上がらない背景についても議論するとの噂であったが、今回もこれに関しては何も聞こえてこない。

 筆者は、異次元緩和で天井知らずのインフレが起こるのではと心配していたが、今もって物価上昇率は1%に届かないようだ。年金生活者にとって非常に有り難いことであるが、一方では物価上昇がなぜ起こらないかは不思議に思っている。どうも経済専門の金融政策決定委員ですら、よく分かっていないと見える。分かっておればとっくに対策を講じている筈だ。

 異次元緩和の副作用は、先述のように、銀行経営の悪化等であり、庶民一般には直接関係ないように思われる。それより、異次元金融緩和の一番の副作用は、経済格差の助長であると確信する。

 日銀は大量に国債を買い込み、市場に現金を流した。この金は庶民一般に行き渡らず、大企業を潤し、投資家を潤した。そして金を有する者は益々豊かになった。

 金を持た無い者は、物価上昇が無いだけに、これでも良しとしたが、物価上昇が顕在化すると、生活は苦しくなり、不満が高まるだろう。

 政治に期待する国民の声の第1位は常に経済対策だ。異次元緩和を推進する安倍政権は物価上昇を目指すが、それが実現された時、寿命を迎える気がする。2018.08.11(犬賀 大好-467)

登山道の整備は自然破壊の一つ!

2018年08月08日 10時00分54秒 | 日々雑感
結婚前は、よく山登りをしていた。
若い頃は、歳をとっても仙人のように、山を歩きたいと思っていた。
しかし、70歳を超えるとめっきり足腰が弱くなり、ハイキング程度の丘登りですらしんどくなった。
最近の楽しみの一つは、NHK;BSの日本百名山を見て、秘かに昔を懐かしむことである。
今週は、尾瀬の燧ヶ岳であったが、この山に限らず、最近の山はどこでも整備がよくされていると感心する。
登山道は、木製の階段で整備され、両側にはロープが張り巡らされている。
これは、山の環境を保全するためであろうが、自然環境に人口物を持ち込んでおり、これこそ自然破壊と思う。
山は自然そのものが良いが、安全第1や環境保全が優先されるのか。これも時代の趨勢か。

トランプ大統領の北朝鮮戦略は失敗か?

2018年08月08日 09時30分45秒 | 日々雑感
 今年6月にシンガポールで行われたトランプ大統領と金正恩委員長の米朝首脳会談では、北朝鮮の核放棄に関し大きな成果があったと報じられたが、最近の報道によればその成果は極めて怪しくなってきたようである。

 米国連代表部は7月12日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に対し、北朝鮮が今年1~5月に海上で石油精製品を積み替えて密輸する瀬取りを少なくとも89回実施したと報告した。

 安保理は昨年12月、北朝鮮への石油精製品の年間供給量を9割減に制限する追加制裁決議を採択した筈であったが、密輸により上限の供給量に達している可能性が極めて高いと指摘している。また文書では、衛星写真などで瀬取りの証拠も示しているとされるが、どの国が関与していたかまでは指摘していないという。しかし、ロシアや中国が裏で絡んでいることには間違いないだろう。

 現在、中国と米国は関税問題で争っており、トランプ大統領もこれまでのように北朝鮮問題で中国の協力は得られないであろう。従って、北朝鮮に対する経済制裁は有名無実となりつつあると思われる。瀬取りの問題でも、中国は公式的には厳重に取り締まっていると主張するであろうが、実際は黙認状態であろう。

 北朝鮮の金正恩委員長は中国の習近平主席と何回か会談し、北朝鮮と中国は互いに持ちつ持たれるの関係であることを再確認し、北朝鮮の体制維持を保証したようである。これで委員長は安心したのか、最近の北朝鮮の強気の姿勢が目立つ。

 外交専門誌「ディプロマット」は7月13日、北朝鮮が国際社会の目を逃れてウラン濃縮活動を続けていると指摘されている秘密施設の所在を突き止めたと伝えた。

 また、米紙ワシントン・ポストは7月30日、北朝鮮がミサイルを製造しているとの兆候を米情報当局がつかんでいると報じた。ここ数週間に偵察衛星が撮った写真などによると、大陸間弾道ミサイル、1基か2基を平壌郊外にある工場で製造中とみられるという。

 以上報じられるように、北朝鮮はこれまでと何ら変わりなく核兵器の開発を続けているようだ。

 7月始め、ポンペオ米国務長官は米朝首脳会談後初めて訪朝し、北朝鮮高官と会談した。長官は今回の一連の協議の詳細についてほとんど明らかにしていないが、大きな進展があった分野もあれば、今後さらに努力が必要な分野もある、と述べたとのことだ。

 恐らく大きな進展とは朝鮮戦争で亡くなった米国兵士の遺骨の返還問題であり、更なる努力とは核兵器に関する問題であろう。この二つの問題は大きくレベルの異なる問題であり、同じように扱うこと自体に違和感を感ずる。

 一方、北朝鮮側は7日、米国の強盗的な態度を非難する談話を出した。米国は、11月に中間選挙を控えているため、米朝首脳会談は成功であったと印象付けたいのであろうが、核兵器に関しては米国の恫喝に拘わらず今もって何ら進展ないことを物語っている。

 米国務長官は7月20日、北朝鮮情勢をめぐり国連安全保障理事会の理事国の大使らとの会合を行った後、「安保理理事国は、最終的で完全かつ検証可能な北朝鮮の非核化(CVID)について結束している。この目標を達成するまで、制裁の厳格な履行が重要だ」と述べ、北朝鮮が非核化に向けた具体的な措置を取るまで制裁を維持すべきだと強調した。

 しかし、先述の密貿易でも分かるように、アメリカファーストを掲げるトランプ政権下では、ポンペオ米国務長官の威光も届かないであろう。既に各国の対北朝鮮経済制裁は緩んでいるのだ。

 今月2日より始まった、ASEAN外相会議での議長声明では、6月の米朝首脳会談を支持するとしながらもCVIDの文言は消えたそうだ。このように、北朝鮮の外交戦略は着実に浸透しており、トランプ大統領の北朝鮮非核化戦略は失敗となりつつある。2018.08.08(犬賀 大好-466)

トランプ大統領の人気はどこから?

2018年08月04日 09時17分58秒 | 日々雑感
 トランプ政権の信任を問うアメリカ議会の中間選挙は今年11月6日に行われる。7月24日の報道によれば、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビが共同で実施した全米世論調査では、トランプ大統領への支持率が前回の44%から45%に上昇したという。ネット・メディアの「ザ・ヒル」の同時期の世論調査では共和党支持層のトランプ大統領への支持率は88%という記録破りの数字を出したという。

 トランプ大統領は世界的に不人気であり、全米での支持率は40%前後と思っていたが意外に人気は高いようだ。日本で聞くトランプ大統領のうわさは概して悪口である。

 地球温暖化はまやかしだとするパリ協定からの離脱、イランは不誠実として核合意の破棄、アメリカファーストの保護主義貿易の推進等、材料はいくらでもある。また大統領を補佐する筈の高級官僚の頻繁な離脱も聞かされており、40%前後の支持率も高すぎると思っていたが、どうも米国内では異なるようだ。

 現在、米国経済は絶好調とのことで、ラストベルトの労働者の期待も高く、支持率が高まっているのかも知れないが、米国のマスメディの事情も大いに関係しているように思われる。

 米国を代表する3大ネットワーク、NBC、CBS、ABCは、概して大統領に批判的であるが、地方に根差すローカルなメディアは擁護派が多いとのことだ。日本のメディアは、3大ネットワークを介することが多いと思われるので、当然大統領に批判的なニュースが多くなる。

 また、新聞に関しては、地方紙の最大手・ニューヨーク・タイムズと、2大全国紙とされているウォールストリート・ジャーナル、USAトゥデイなどがあるが、アメリカでは伝統的に全国紙よりも地方紙が好まれるそうだ。地方紙は意見を率直に主張する一方、読者はその新聞しか購読しないので、意見が偏る傾向にあるとの話である。

 そもそも地方紙では、世界的な出来事より、地方の出来事を優先するのは当然であろう。世界の動きには余り関心を示さないのだ。地球温暖化等は他人事なのだ。

 先日行われたヘルシンキでの米ソ首脳会談において、プーチン氏と通訳だけを挟んで1対1で2時間近く会談したトランプ氏は、その後の共同記者会見で、プーチン氏との親密さを誇示した。

 更に、ロシアが2016年大統領選に介入する理由がなかったと言明したが、記者より、大統領選介入について自分の国の情報機関を信じるのか、ロシア大統領を信じるのかと質問されると、「プーチン大統領はロシアじゃないと言っている。ロシアである理由が見当たらない」と答えたそうだ。

 プーチン大統領に対する外交辞令であるのか、本心なのかよく分からないが、そうあって欲しいと言う気持ちは本当であろう。

 米連邦捜査局(FBI)をはじめとする複数の米情報機関は、大統領選にロシアが介入したと断定しており、さすがにこの発言は後日取り消さたようである。兎も角、トランプ大統領は何か会談すると、まず成果があったと主張する。実際の成果の中身を云々する前に。

 首脳会談における一連の動きの中で何処を強調するかにより、また聞く側の何処に関心があるかにより、トランプ大統領への評価は大いに異なるものとなろう。

 先述のように米国一般市民は同じ情報源からしか入手していないことを考えると、トランプ大統領の人気の高さには地方メディアの影響が大なると想像される。

 以上、分かったようなことを言っても、メディアの影響が大きいことは日本でも同様であり、日本のマスコミも安倍首相擁護派と反対派の色分けがはっきりしてきている。内閣支持率は、マスコミの支配率を表しているのかも知れない。2018.08.04(犬賀 大好-465)

林業による地方の活性化は可能か?

2018年08月01日 09時44分21秒 | 日々雑感
 日本国土の2/3は森林で、天然林と人工林はほぼ半々だそうだ。人工林は先人が苦労して植林し、育てた森林だ。日本は資源に恵まれていないと言われているが、森林資源は豊かである。しかし、ほとんど有効活用されていないのも事実である。

 杉はスギ花粉によるアレルギー症ですっかり悪者にされ、さらに最近では、異常気象により山肌に土砂崩れが起きると、土砂と共に大量の木材が流れ下り、災害の規模を大きくする原因とまでとなり、悪者扱いもされる。

 森林は、水源の涵養、地球温暖化の防止、多様な生物の保全、木材等の林産物供給など多面に機能を有しており、多くは存在するだけで国民生活に様々な恩恵をもたらしてもいる。しかし、森林も適度に手入れをしないと、密生や倒木で豊かな森を荒廃させる結果となるので、放たっらかしにしておけない。。

 適度な管理とは、下草の整理、下枝の伐採、間伐、倒木の整理等であろうが、これらをするだけでも結構な費用を有する。この資金をひねり出すためにも、豊富にある森林資源をもっと積極的に生かす方法は無いだろうか。間伐材の有効利用に関しては、各地で色々な取り組みがあるようであるが、まだ散発的である。

 林野庁のホームページによれば我が国の林業産出額は、近年は約4,000億円前後で推移しているそうだ。天下のトヨタ自動車の売上高が30兆円に迫ろうとしているのに比べれば、微々たるものだ。しかも木材生産額と栽培きのこ類生産額がほぼ半々とのことである。

 きのこの栽培が盛んになっているのは喜ばしいことであるが、逆に本来の木材自体の利用がほとんど無いことも意味している。

 元凶は木材価格の低迷にある。木材価格は高度経済成長に伴う需要の増大等の影響により1980年にピークを迎えた後、木材需要の低迷や輸入材との競合等により長期的に下落傾向にあるそうで、林業は風前の灯的な印象が強い。この状況下では若者も集まらない。

 同ホームページでは、林業全般にわたる現状と課題を適確に把握した上で、林業の採算性の向上、木材加工・流通の効率化、新たな木材製品の開発、木質バイオマスのエネルギー利用等を促進していく必要を訴えているが、国の政策との関係で見ると、連携は薄く、見通しは極めて暗い。

 最近、世界の経済のグローバル化の流れを象徴するTTPや日欧経済連携協定(EPA)において、木材の輸入関税の削減、撤廃が謳われており、日本木材の競争力は苦しくなる一方である。

 また、農林省は、バイオマスの活用を推進することによって 約5,000億円規模の市場を創出するとの目標を掲げているが、国が作成したエネルギー基本計画では、バイオマス発電は、取って付けたように循環型経済の実現に向け、森林資源の有効活用・林業活性化の推進をはかるとしているのみで具体性に欠ける。

 一方世界的に、破棄されたプラスチック製ゴミが環境、特に海を汚していると話題になりつつある。プラスチックは現代化学が生み出した便利な材料であるが、その弊害も目立ってきた。

 プラスチック製品の代替えに木製、あるいはパルプ製品に替える取り組みは、既に外食産業におけるストローの使用に見られる。そのうちコップやお皿も木製、パルプ製代わることになるだろう。

 また、東京立川市の町工場、福永紙工が”空気の器”と称する紙を加工して立体化させる技術を活用してヒット商品を連発しているとの報道があった。木材の使用を促進する素晴らしい技術だ。

 木は金属に比べ強度が弱い。しかし、金属と組み合わせれば、構造材として使用できる。新国立競技場には木材がふんだんに使用されているとのことだ。東京オリンピックを契機に木材が見直されることを切に願う。

 木材は日本の何処でも入手できる資源であり、地域興しの役にも立つ。アイデア次第で有効に利用できる筈だ。2018.08.01(犬賀 大好-464)