通夜

５月３日　　のち　

雨は朝まで続いた。９時頃には曇り空に変わるが、一日中、時々薄日が差す程度の曇り空から、霧雨が断続的に降る。
この雨も田んぼには恵みの雨。土が出始めた田面も潤う。一枚の田に除草剤。
ハウス内にトウモロコシを定植。サツマイモの苗取。
６時からは通夜。以前は、ほとんどが自宅葬だったが、最近は斎場も増えてきた。今回も、農協経営の斎場で行われる。
移住してから多くの葬儀を経験してきた。その都度思ったのが、喪主は大変だろうな、だった。家の中はいろんな人たちでごった返し、落ち着く場所も無い。いろんな人たちは、失礼しましたで、帰れば日常の空間。喪主たち家族は、ごったがえった家の中に残され、故人をしのぶ余裕も無いまま、明かさなければならない。
儀式と化した葬儀の不条理さ。ちょっとした不手際も、隣近所や親戚縁者の非難の的。滞りなく済まして当たり前。こんな別れで良いのかと思ってきた。
父の死の三年前、私たちはこの集落では初めて、斎場葬を選んだ。その上、葬儀の日に納骨もしなかった。この地域の葬儀とは多くのことで違いが出来た。良い風習は残っても良いが、わずらわしい、ただの慣習は変わったほうが良いと思う。慣例を変えると、よく思われない、との思いが強い地方では、私たちのような、移住者が破った方が、非難は少ないだろうと、あえて、選んだ葬儀だった。
通夜は終わり、明日は本番。滞りなく進むことを祈りつつ。


庭の花　アフリカキンセンカ