書・茂木絢水
閉じ込めておく
能面のように表情なく
愚鈍な曇天
雪さえ散らつく寒さ
蒼い海水の壁が押し寄せて
押し寄せたまま凝り固まった凝固物
上っ面を賑やかな笑いが滑っていったり
どこか遠くの悲劇にかんたんに涙したり
滞りない日常を暮らす
ある日
彩雲をめがけて
虚空を切り裂く白鷺の飛翔が
大粒の清浄な雨を降らし
降りやんだ蒼空に
大きな二重の虹が架橋する
蒼い森から豊饒な水が流れ
封印を解き箱を開け放ち
蒼い海に押し流して
涙を拭いて
空を見上げ
海を眺望し
晴れやかに笑う
おかえり
と呼びかける
※書は、気仙沼の新進気鋭の書家・茂木絢水さんによる。
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