冷たく澄んだ星空に
オルゴオルが鳴響く
明日もまた幸せな日がやってくるよう
火のもとに気をつけておやすみなさい
女のこえはしとやかに
太郎の屋根と
次郎の屋根と
そのしたのだんらんに
語りかけ時を知らせ
ひと部屋の灯を豆電球の薄明りに変え
にぎやかな笑いを健やかな寝息に変え
今日このごろは
我が家の太郎も寝どこのなか
何ごとか夢を見て笑っている
詩集湾Ⅱ 第Ⅳ章 幻想旅行 から
2015年の注;気仙沼のひとなら誰でも知っている、夜九時に防災無線から流れる「消防の時間です」というあれ。聴いていると「消灯の時間です」とも聞こえ、さて、消防なのかどちらなのか悩んだが、火の元がどうこう言うので、まあ、消防に違いないと。行政が9時に消灯などというのも余計なお世話であるに違いない。三好達治の「雪」を踏まえていることは言うまでもない。自らの体験と先行する文学作品を重ねて見て、重ねて書くことが、ひとつの文学の営みとなる。気仙沼の光景と芸術作品を重ねること。現在の現実に過去の文学作品をかさね、それが未来の文学作品となること。そういうことは常に考えている。1990年ころもそうだったし、2015年の現在もそうだ。
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