ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

ミルキイウェイにぶら下がって

2022-01-02 22:36:54 | 月刊ココア共和国 投稿詩
ミルキイウェイにぶら下がって
流れ去る星の煌めきを眺める
鵲の橋を渡る年に一度の逢瀬を想って
ため息をつく

牽牛織女の恋
ほとんど引き裂かれた恋
ほとんど終わった恋の物語
永遠に終わることのない終わった恋の物語

肉体を失った
感情も失った
視線だけを残した
見上げる夜空の向こうに
輝く無数の星のはてに
熱を失った漆黒の空漠が拡がる

ミルキイウェイにぶら下がって
虚空のブランコに乗って
年に一度の逢瀬を
息を殺して待つ
私は待つもの
私は見るもの
私は逢うことのないもの
ほとんど呼吸をしないもの
ほとんど生きていないもの

冷えきったミルキイウェイにぶら下がって
凍えた血を流して
冷えきった逢瀬を待ち焦がれる


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