ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

ブリリアントな多面体  霧笛131号から

2019-10-21 23:12:06 | 2015年4月以降の詩

四本の弦楽器の諧調(ハーモニー)

鍵盤楽器の旋律(メロディ)

不協和を抱え込んだ和音(コード)

 

不協和こそが相和する

discordこそがconcord

 

世に災いの種は尽きない

世に喜びの種は包蔵される

災いは乱暴に放り出されてある

喜びは箱の中に隠されてある

見出して取り出さなければならない

しかし

往々にして喜びの陰から災いがしゃしゃりでる

幸運の女神の後頭部には大きな口が裂けている

かもしれない

油断してはいけない

 

善獣バロンと魔女ランダの終わりのない闘い

 

ああしかし芸術はかくも美しい

悪意を宿した美女こそ

絶世の美女

乱調の美女

 

輝ける多様体

とげの秘匿む配合体

 

五重奏の深く重く軽やかに豊かな響き

不協和こそが協和する

単純な美は存在しない

ああしかし芸術はかくも美しい

美は確かに存在する

 

※参照

坂本龍一と東北ユースオーケストラメンバーによるピアノ五重奏を聴いた

副題は、~ブリリアントカットを施したダイアモンドのような多面体~



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