3月21日(火)18時から、市役所ワンテン庁舎大ホールで開催されたイベントに参加してきた。
基調講演は、studio-L代表 山崎亮氏。東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科の教授、学科長である。
実は、すでにブログには書いているが、若き哲学者にして、最近は民主主義の擁護者というべき國分功一郎氏との対談を読んだばかりで、感銘を受けたばかりであった。(國分功一郎『民主主義を直感するために』(晶文社)所収「民主主義にはバグがある―小さな参加の革命」)
なかなかにラジカルな論客であり、実践者のようである。
今日の服装は、Vネックのセーターの下は白のTシャツ、ボトムは白地に大きなチェックのツイードっぽい幅広のくるぶし丈のパンツであるが、女性もののキュロット・スカートとも見える。服装もなかなかにラジカルである。
「今日は、市長もお見えのところで、ジャケットもなく、ネクタイもしてこなかったのは失敗でした」みたいなことをおっしゃるが、それはもちろん、一種のポーズというかレトリックであって、ほんとうに後悔しているわけではない、はずである。
基調講演において、各地での氏の取り組みを紹介されたが、どれも面白く、ユニークで、実質的な市民の参加が実現しているものと思われた。島根県隠岐島の島前の海士町の取り組み、新潟県村上市の取り組み。海士町は、例の、全国から留学生を集める島前高校のことなど。
海士町と言えば、図書館においてもユニークな取り組みが行われているはずであるが、総合計画策定となんらかの関わりはあるところかどうか、質問してみたいところでもあったが、時間が少ない中では遠慮したところだ。
次の総合計画策定が、氏の関わり、ファシリテートのもとに行われるとすれば、そうとうに面白いことになりそうである。「市民が主役のまちづくり」、真の市民参加、真の市民自治の実現が期待しうる。
基調講演のあとは、菅原茂市長との対談、その後、短時間ではあったが、質疑応答の時間もあった。
市長との対談後に、総勢百人ほどはいたかと思われる聴衆を、近場の5~6人程度づつで意見交換の時間をとって、一方的な講演の形にしないあたりはさすが手慣れたワークショップのプロである。
山崎氏が語った詳しい内容は、地元の新聞なり、市の広報なりで紹介されることと思う。手法も含めて、なかなかに期待できるものであることは間違いない。
市長の気仙沼に対する思いや、進むべき方向への感覚はなかなかに鋭いものがある。市役所組織を挙げて、そこが、形よく実現していければ、いい結果が見えてくるはずである。
さて、質疑応答で、会場から質問が出た。首都圏等から震災後、唐桑に移住してきた女性たちを「ペンターン女子」、半島(ペニンシュラ)にIターンしてきた女子の意でそう呼ぶようだが、質問者は、ペンターン男子である。唐桑町地区のまちづくり協議会にも参加しているとのことであった。なかなか鋭い質問である。
最近、本吉町エリア、あるいは、旧市街の内湾エリア、その他、各地域にまちづくり協議会の設立が進んでいるようである。これは、「市民が主役のまちづくり」のためには良き方向のことであることは間違いない。その機能のさせ方如何ではある、ということも間違いないことではあるが。
質問者は、それらのまちづくり協議会と今回、新年度から開催しようとする総合計画策定のためのワークショップとの関係性を問うものであった。
100名ほどの市民を募集し、4月22日(土)を第一回とし、8月ころまでに5回のワークショップを開催するという。
既存のまちづくり協議会と今回のワークショップはどう連動するのかと。
まちづくり協議会については、市役所内の担当で言うと、震災復興・企画部の地域づくり推進課であったり、唐桑、本吉については、各々の総合支所総務企画課になり、総合計画策定に関しては、震災復興・企画部の震災復興・企画課となるはずである。
一般論として、市役所内の各課は、司々の縦割りの官僚組織で機能していて、その枠を超えるというのは、実は相当に困難な技となる。
市長の思いはあるはずだし、一般市民から見える見え方もあるはずであるが、縦割りのタコつぼを乗り越えるというのはそんなに簡単なことではないようだ。
まちづくり協議会であったり、それ以外の市役所各課が関わる審議会とか協議会的な組織に参加した市民が感じる、どこか話が通じていかない感覚というのは、市役所各課の縦割りによるところが大きいはずである。
もちろん、官僚組織の縦割りの役割分担は、業務を的確に遂行していくうえで欠かせないものであり、そのメリットは相当に大きい。というか、縦割り組織なしには、役所は機能しないといって間違いないものではある。
そのメリットは活かしながら、デメリットを最小にするということは、市長は常に課題として取り組んでいるはずであるが、その市長の思いを実現するためには、課題があるということになる。
今年度、設立が加速したと言っていい各々の「まちづくり協議会」は、市民によるまちづくりを進める最重要の拠点であるはずである。そこと、今回のワークショップが、風通し良く、連動している、というふうに参加市民が実感できれば、これは、まさしく「市民が主役のまちづくり」が進みつつあるという実感ということになるのではないだろうか。
逆にいえば、そこで、どこか話が通じない感覚、行き止まりになっているみたいな感覚しか与えられない、というのでは、「市民が主役のまちづくり」は、相変わらず画に描いた餅としか感じられないということになりかねない、ということになる。
さて、このあたり、どういう展開となっていくのか。期待したいところである。
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