白石正明氏は、医学書院の名物編集者、「偉大なる編集者」といってしまうと、評価が早すぎるとなってしまうだろうが、私が尊敬する、いつの間にか影響を受けていたというべき編集者であることは間違いない。白石氏が、この3月で定年退職を迎えたらしい。
写真は、同シリーズの他、本棚にあった担当書籍を並べてみた。このほか、斎藤環氏の『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』2021と、森川すいめい氏の『オープンダイアローグ私たちはこうしている』2022があるが、たぶん、息子に貸している。
ずいぶん読ませていただいた。私の現在の関心分野は、知らぬ間に白石氏に導かれて開かれたのだったかもしれない。
しかし、年表掲載の、シリーズ以外も含めて、すべての書籍を読んでみたいと思うが、特にシリーズ1冊目の広井良典氏『ケア学』は必読か。また、わが師と仰ぐ内田樹氏は、最近は、発行点数が膨大なので追いかけていないが、『死と身体』は読んでみよう。レヴィナスがらみだろうな。中井久夫、信田さよ子ほか,すべての著者をあげてもいいが、この辺にしておく。
最初の広井氏の『ケア学』に触れて、こんなことが語られる。
「広井さんは、ケアが一対一を前提にしていることもおかしいと言っていました。医療でもカウンセリングでも。一対一で深めるんだ、それが正しいんだと多くの人が思っています。でも広井さんは「もっとコミュニティとかグループみたいな前提で考えないと、ブレイクスルーはない」と言っていた。」(p.97)
ケアには「大きさ」、「潜在力と広さと豊穣さがある」、「一つの学問単位として、十分それに耐えうる魅力がある」という。
「医療モデル」から「社会モデル」への転換、「キュア」から「ケア」への転換という大きな潮流において、白石さんの果たした役割は大きなものだというべきだろう。
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