ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

エッセイ うを座のこと(h15)

2010-03-15 20:28:26 | エッセイ
平成15年に、市も生涯学習関係の機関誌か何かに書いたもの。

 気仙沼演劇塾うを座は、1998年、地域で長く演劇活動に携わったメンバーを中心に、「若い世代とおとなとが演劇の感動をわかち合い、芸術の深さにふれ、共に人間として成長し、地域の文化をつみ重ねる」という目標を掲げ、小学生から高校生までの塾生を募集し、発足しました。
 同年の中間発表会、翌年の第一回公演オリジナルミュージカル「海のおくりもの」から、昨年、第4回公演「鳥の物語」では、初の仙台公演を成功させ、俳優で演出家の壤晴彦氏とそのグループの芸術家としての本物の力量と卓越した指導力により、一地方小都市として、常識では予測しえない結果を実現してきました。
 壤氏は、若い頃、狂言を学び、劇団四季を経て、蜷川幸雄演出作品のイギリス公演等に数多く主演し、俳優として活躍するばかりでなく、「日本の俳優たちよ、日本を学ぼう」を合言葉に演劇倶楽部『座』を主宰、美しい日本語の小説作品を原文のまま舞台に上げる、「詠み芝居」というジャンルに取り組んでいらっしゃいます。
 この2月、新宿・紀伊国屋ホールにおいて、泉鏡花、宮沢賢治らを取り上げ、詠み芝居6日連続日替わり上演を成功させました。
 昨年の「鳥の物語」は、小説家・中勘助の珠玉の作品集を脚色したもので、現代ではやや古風な日本語に、歌とダンスを散りばめた本格ミュージカルでしたが、中間発表会の時から、浜田広介の童話を原文のままお芝居として舞台に上げ、以来、気仙沼の子どもたちに、自らの肉体を使って日本語を体験させていただいています。
 今年は、大きなホールでの公演は予定しておらず、子どもたちへの壤氏らの指導を、じっくりといただきつつ、一般向けのワークショップも数多く開催し、美しい日本語を見直そうという壤さんの実践を、市民の皆さんに広く体験していただきたいと考えています。その際には、うを座自体への加入は出来ないけれども、というお子様がたの参加も歓迎いたします。
 演劇の教育的効果は、現在、広く語られ始めています。うを座の公演の素晴らしさよりも、むしろ、日常の練習において、われわれスタッフが目の当たりにしていることを、市民の皆さんと共有したいという願いを込めて。

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