妻の友人からメールが入って、今朝の三陸新報のコラム「萬有流転」見たよ、ということだったらしく、休日でまだ寝床にいた私に声をかけて、妻は出かけて行った。
妻も、人と会う約束の時間がせまって、新聞に目を通すことなく出なければならなかったが、何か、こないだの文化協会の新春懇談会のことらしいと。
2019年2月2日付け三陸新報一面のコラム「萬有流転」は、1月28日月曜日に開催された気仙沼市文化協会の新春文化振興懇談会の紹介である。
「私たちの文化活動」として、3つの加盟団体から、詩誌霧笛の「霧笛の会」、気仙沼演劇塾うを座、気仙沼天文研究室から発表があり「それぞれに興味深い話だった」と書かれている。
コラムニストは、短い字数の中で、3つの団体の活動について的確に紹介されている。さすが達意の文章である。
実は、私は気仙沼演劇塾うを座のスタッフとして、活動の紹介を行った。
「うを座は98年に誕生、翌年に市民会館でミュージカル「海のおくりもの」を熱演した。当時参加した子供たちが大人になり、少しづつ指導者として活躍している。」
というところ、私の話した内容からの要点ということになる。現在のうを座が、子供たちが成長し、指導者、運営者として担ってもらっているというところを切り取ってもらえたのは、ほんとうに有難いことである。
また、霧笛であるが、活動の紹介は、代表である西城健一さんが行い、併せて、最新の128号から、他の同人作品も含めて朗読していただいた。
私は、霧笛には第2号から参加し、その後長く編集を担ってきた。今回は、うを座と霧笛と双方にメンバーとして関わっている。
前の週に、懇談会発表者の打ち合わせがあるとのことで出席した折、蔵王町で私の詩集「湾Ⅲ2011~14」からピックアップして、妻と二人で朗読してきたことをお話し、地元でも紹介できる機会があればと思っているところだとお話しした。すると、役員のみなさんから、ぜひ当日やってみなさいと勧められてしまった。自分で売り込んだわけである。
加川氏は、震災以降、津波が襲った場所の巨大絵画を発表され、気仙沼市の鹿折唐桑駅前に打ち上げられた第18共徳丸や、南三陸町防災庁舎の残骸など、描き続けられている。昨年の11月18日にも、気仙沼市民会館大ホールで、共徳丸の巨大絵画を舞台に設置、その前でトークや音楽演奏など披露する「コンポジウム気仙沼2018」も開催されており、皆さん、ご存じの画家ではある。
その直後、加川氏の地元蔵王町のございんホールで、11月23日から開催された氏の個展「第3回加川広重アートプロジェクト」では、その共徳丸と南三陸町防災庁舎の2枚の巨大絵画が展示された。その前で、最終日の12月3日、私の共徳丸についての詩を朗読する機会をいただいた。白石の詩人金子忠政氏からのお声掛けである。詩集から、共徳丸を描いた作品を中心に7点を選び、10分ほどの時間で、妻真紀と私とで割り振りをして、ふたりで朗読する形に構成した。
加川氏の第18共徳丸自体の巨大絵画の前、という、言ってみれば奇蹟的なシチュエーションということもあり、集まった観客のみなさんには、真剣に集中して聴いていただけた思いはある。手前みそではあるが、相当の手応えは感じたといっていい。
なんらかの形で、気仙沼においても演じる機会を持ちたいものと考えていた。
詩集「湾Ⅲ2011~14」の表紙は、同級生の画家・常山俊明の手になる第18共徳丸のスケッチであり、その絵を拡大してパネルにして後ろに置いた前で、私と妻が立って、詩を朗読する。10分間のステージである。拡大パネルはまだ準備できていないが、パネルと詩集を持って、ゲリラ的に市内のさまざまな場所に出没する、などということも面白いはずと。
というわけで、文化協会の役員さん方に売り込んだわけである。
私は、霧笛と気仙沼演劇塾うを座のメンバーであり、真紀さんも、うを座のメンバーである。そのふたつの団体を重ねて、その発表の一部と言うか、番外編として、引き続き演ずる場をいただくことができた。
当日朗読した作品は、詩集の中から「水」、「半分はもとのまま」、「水と月」、「置く」、「船」、「旅」、そして「ありがとう」の7編である。妻と私と、交互に読み、ある詩行はふたりで重ねて読む。書き文字の詩を声に出してみる、というところを超えた、一個の演劇的なパフォーマンスとして成り立たせたいという意図はある。
今朝の萬有流転では、
「最後に千田さんと妻の真紀さんがコラボして、詩の朗読。2011年から14年に作った詩に会場は静まり返り、それぞれの震災を重ねるように聞き入った。」
と紹介いただいた。
今回も、ステージのうえから、会場のみなさんの様子を拝見しつつ、手応えは感じていたところだが、改めて言葉で「会場は静まり返り…聞き入った」と表現していただけたということは、何ごとにも代えがたい有難いことである。言葉にもならない思い、と言えばいいか。
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