ときおり
ひとがひとでなくなるような
そんな瞬間が
訪れる
桜の咲く季節
だからというのでなく
ひとがひとである
そんな理想郷
ひとが鬼である
そんな日常
いやいやどちらにしろ
それらは
レトリック
ひとは鬼となる縁がなければ鬼とはならない
ひととなる縁がなければひととなることはできない
ひとは
ビルの屋上から飛び降りることができる
ナイフでひとを刺すことができる
言葉でひとを貶めることができる
しかし
ひとは自由気ままにそんなことができるわけではない
縁がなければ
ひとの悪口すらいうことができない
恐らくぼくには
そんな縁はない
ひとを刺し殺すような深く暗い縁はない
そう思って
若いぼくは
ずいぶん安心したものだ
しかし
にんげん生きている間は右往左往して油断ならない
死んで初めてひととなるのだ
と言ったひとがいた
それもまたレトリック
だが
生きている間に記念像などたてるべきではない
というのは正論だ
生きている限り
ひとでなくなる瞬間は訪れる
可能性がある
否定できない
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