塚田盛彦のつれづれなるままにサッカー

世界中で親しまれているサッカー。このサッカーをフィルターとして、人間社会の構造に迫っていきたいと思います。

画一的な最近のサッカー

2010-06-14 21:37:23 | 日記
 「どの国の人間も、他の全ての国の人とだんだん似てくるわ。
  個性も文化も理想も文化もなくなってしまう。 なんにも、なんにもなくなってしまうのよ。」

 これは6月5日発売のメンズ・プレシャスの36、37ページに掲載されている、ポール・ポウルズという作家の作品、「シェルタリング・スカイ」から引用されていることばです。

 僕はこの方の人生や作品について全くの無知なのですが、以前からサッカーの世界も同じ出来事が起こっているなと思いました。今回のワールドカップに向けてのガイドを、僕が6月3日発売のワールドサッカー・ダイジェストにしたのですが、戦術から23名の選手選択に至るまで、各国が非常に似通っていて、どこかつまらないなと思っていたんです。

 このガイドでは北朝鮮の布陣を5-3-2、ギリシャが4-3-3のオプションとして5-3-2、同じようにウルグアイが4-4-2の布陣のオプションとして3-4-1-2を視野に入れている以外、各国の布陣を4-2-3-1、4-4-2、そして4-3-3と、全て4バックとして捉えている上、エントリーされている選手の多くは、ファンの殆どがしっている顔触れなんです。

 ファンが知らない選手の多くは北朝鮮のように、政治的に遮断されている国、もしくはニュージーランドやホンジュラスのように、久しぶりのワールドカップというどちらかと言えばマイナスの意味合いなんですね。

 通信機器の発達と、選手の多くが欧州でプレイしている今、戦術でも布陣でも僕らが新鮮味を感じる事は非常に少なくなってしまいました。

 ですからビエルサ率いるチリ代表が、中盤菱形の3-4-3(つまりトップ下を置く!!)に加え、サプライヤーがブルックスという点が、僕から見ればもう面白くてたまらないのです。

 ブルックスはアメリカのブランドで、アメリカでも日本でもランニングシュース、ウオーキングシューズの分野で非常に高い評価を得ています。その会社がサッカーのジャージを、チリ代表に供給するという観点が面白いですし、個性的だと思うのです。

 正直チリが地震の被害にあったとき、チリ代表はワールドカップに向けて準備できるのか不安になりましたが、彼らはワールドカップへの棄権をしませんでした。

 今は彼らの戦いぶりを、チリの皆さんも期待していると思います。チリの皆さんが笑顔になれるような戦いができると良いですね。
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まもなく日本がカメルーンと対戦

2010-06-14 21:24:52 | 日記
 あと1時間でNHKが日本対カメルーンの中継を始めます。各地で「日本頑張れ!!」の声援が増えてきていますから、視聴率も高い数字を記録しそうです。

 ちなみに僕の弟は、「テレビ朝日のオランダ戦以外、テレビ中継がないと思っていた。」とそうです。確かにテレビ朝日はオランダ戦の中継を、果敢にアピールしていますからね。

 今日本代表のマーキングサービスを無料で承っているスポーツ店が多い様なので、代表ジャージを今購入しようとしている方はお得だと思います。
 今は選手名以外のマーキングも可能のようですから、家族や恋人、過去の名選手の名前をプリントしても楽しいと思います。

 ただ人気選手ほどマーキングサービスが重複するため、品切れしてしまう可能性もありますから、申し込みは急いだ方が良いでしょう。

 ちなみに日本代表の選手モデルで一番人気のスパイクは
 本田が着用するミズノの「ウェーブ・イグニダス」の黄色だそうで、非常に売れ行き好調と聞いています。

 名手の履くスパイクが人気なのはいつの時代も変りませんが、従来ならば中村俊輔モデルのアディダスが売上首位でもおかしくは無かったと思います。実際ビジャとメッシが登場するCMは、アディダスが相当知恵を絞った事が窺えますしね。

 ただ最近は中村単体ではなく、森本や内田との同時期用の部分もありましたし、2009シーズンはFC東京の平山も登場していましたから、アディダスは中村の後継者を探しつつあるようです。

 そしてピッチ上でも、中村から本田へ日本のスポークン・パーソンが交代する、その瞬間が今日のカメルーン戦かもしれません。
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サッカーは生きる歓び(2)

2010-06-14 18:07:07 | 日記
 例えばフランスのマルセイユ
    アルゼンチンのボカ・ジュニオルス
 
 などのファンが、時に暴力に頼った応援をするのは、ファンの多くが労働者階級だからでしょう。彼ら自身の姿を、自分の贔屓クラブの投影しているのだと思います。

 ですからクラブが勝ち続けている時は何の問題もありません。クラブは「生きる歓び」を与え、ファンは自分が生きている証拠を手にしています。
 
 「明日もつらいかもしれないが、頑張って働こう」
 彼らにやる気と慰めを与えてくれます。クラブに出来たんだ。俺たちにだって出来るはずさと。

 でも負けが込み順位が下がってくると、ファンはクラブに裏切られたと感じ、同時にうだつのあがらない自分自身を見ているような気がして、心底憂鬱な気分になる。

 だからこそ暴力に頼ってでも、この現実を打破したい。

 ファンが暴力的だというクラブの背景には、ファンの生活や思想が大分反映されていると思います。

 ですから2009-2010シーズン、マルセイユが悲願のリーグ優勝を果たした時、マルセイユの街で起こった興奮は、日本に住む僕でも想像できます。

 マルセイユの街から見れば、自分たちの英雄であるデシャンが監督就任したことさえビッグ・ニュースなのに、彼は初年度からマルセイユを頂点に導いた。このことだけでデシャンはマルセイユの街で生涯感謝されると思います。

 そしてフランス王者として堂々とチャンピオンズ・リーグにエントリーできますし、ヴェロドロームにチャンピオンズ・リーグのアンセムが響く時、マルセイユのファンは改めて「生きる歓び」を感じるのではないでしょうか。

 サッカーは僕たちに
 「生きる歓び」や「存在証明」を与えてくれる半面、「監督解任」や「連敗地獄」など負の面も与えかねません。

 今の日本でサッカー場で暴力が起きない事は、今の日本が極限まで追い詰められているわけではないことを証明しているように思います。まだ日本には暴力を排除できる自浄作用があることを忘れてはいけません。

 「ま なんとかなるのではねえか。」

 常盤氏の言葉が改めて身近に感じられます。
    
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サッカーは生きる歓び

2010-06-14 17:50:14 | 日記
 アメリカの作家アーウィン・ショーの翻訳を手がけていることで知られる常盤新平氏。

 常盤氏は同時に熱狂的な池波正太郎ファンとしても有名で、池波先生の代表作「剣客商売」の文庫本の解説を書いていらっしゃいます。

 そんな常盤氏の仕事振りが実ったのが
 「快読解読 池波正太郎」という小学館文庫で、剣客商売で常盤氏が記した文庫文を全て載せ、同時に池波先生との対談、氏のエッセイなどを全て網羅しているんです。

 この文庫本の262ページに
 「来年も大変だろうが、ま、なんとかなるのでがねえか

 このことである
 
 読むうちに、「鬼平犯科長」からぼくは、「励まし」を受けた。

 それは口に出すのも恥ずかしいのだが、この世に、

 「生きる歓び」といってよい。」

 と常盤氏が心情を吐露している場面があるんです。

 氏は年末の仕事を終えた後、そして機会があれば先生の作品を読み返しているんです。
 僕も池波先生の作品のファンで、常盤氏と同じように何度も読み返しています。常盤氏は作品のシナリオを忘れているからとおっしゃいますが、それを差し引いても先生の作品は、すぐに引き込まれる素晴らしい情景がそこにあるんです。

 老いも若きもサッカーの虜になるのは
 「この生きる歓び」
 「素晴らしい情景」
 を、僕たちが知らず知らずのうちに、しっかりと感じ取っていることにあるのではないかと思うんです。

 僕はサッカーのことを考えない日はありませんし、もし将来仮にサッカーから離れたとすれば、今までサッカーに費やしてきたお金、そしてこのブログで皆さんに会えたこと、全てが水の泡になってしまいます。

 考えただけで背筋が寒くなります。

 でもサッカーから離れることは、もうありえないと思います。
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勝者に報酬は無いという作品名

2010-06-14 13:01:20 | 日記
 新潮文庫から高見浩氏の翻訳で、「ヘミングウェイ全短編」という短編集が3巻に渡って発刊されています。

 これは文字通りアーネスト・ヘミングウェイの短編集を網羅した物で、高見氏の翻訳も読者から絶賛を浴びた優れた作品に仕上がっています。

 2巻のタイトルは
 「勝者の報酬はない・キリマンジャロの雪」
 と言いまして、キリマンジャロの雪は作品その物の題名でもありますが、勝者に報酬は無いは作品名ではないんですね。ですから短編の雰囲気を出す為に名づけられた題のようなんです。

 でも「勝者に報酬はない」というタイトルは、まさに言いえて妙だと思いませんか?

 僕たちは勝者には地位と名誉、そして莫大な報酬が支払われると信じていますよね。そして実際それは起こります。ワールドカップに限らず、五輪の世界でもメダリストの方達は、様々な形で祝福されますからね。

 でも逆に勝者となった事実が、選手をがんじがらめにしてしまうことも事実です。

 「取材に終われ練習時間がとれない」
 「過去の実績が重くのしかかる」
 「結果が出なければ痛烈な批判が帰ってくる」

 今の日本代表で言うと、玉田がそうですね。

 彼がドイツ大会のブラジル戦で決めたゴールは今でもハイライトで流されますが、その印象が余りに強すぎ彼が代表から外れていた時期、「玉田はもう終わった選手」と考える人間は多かったようです。また彼自身も代表召集を受けるだけの体調を維持できませんでした。

 ですから彼が再び代表召集を受けた時、皆が驚いたわけです

 僕はこの短編集を3巻全て持っていますが、ヘミングウェイは作品の題を付けることに秀でた作家だと痛感します。 
 ヘミングウェイ自身釣りやボクシングのファンでありましたし、それらに身を委ねている瞬間、脳裏に様々な思いがよぎったのでしょう。

 人は皆敗者になりたくないと考えます。
 しかし勝者もまた、桃源郷に住んでいるわけではないことも、僕らは自覚しないといけません。
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