蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

舞台のご感想 その3

2012年09月03日 14時29分26秒 | 日記
また長文のご感想をいただきました。
他にアンケート用紙の裏まで、びっしりご感想を
書いて下さった方もいらっしゃいます。
ご関心を持っていただけたことが、本当に嬉しいです。

基本的に「その1」にご紹介させていただいた内容の
メッセージが多いので、若干異なる長文のご感想を
最後に紹介させていただきますね。

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「ONU~見エナイ門」についての個人的感想

前回に引き続き、50人を超える役者さん、女性を中心とした声楽隊
シンセサイザーやバイオリンの器楽演奏、そして脇で支える大道具、小道具
照明、音響、会場係の総力が結集した素晴らしい舞台だったと思います。

私は1日目を見せていただきましたが、昨年とは打って変わって
星空が広がる好天にも恵まれてよかったですね。
ほぼ無風だったのでじっとしていても少し暑いと感じるぐらい。
皆さんはきっと大汗をかいて演じられたことと思います。
アカガネ、つまり銅による公害の問題について、環境に害を及ぼすものだと
気付きながら看過してしまう人間たち
そこへ異界に生きる「オヌ」が告発を試み、命までも捨てるストーリーは
私個人としてはよく理解できました。
観賞しながら、3・11の大地震による原発問題と絡めて見てしまいました。

生き物たちの変化に異常を感じ取る人々、なんでもないよとうそをつく経営者。
しかし、お金のために告発をためらう人々。
こうした構図は公害問題に通じる課題です。
あの原発事故で人々は原発の恐ろしさに気付き
首相官邸でも毎週デモを繰り広げられる事態になったのですが
政府や産業界を中心に「原発は生活や産業を支えるために欠かせない」という
掛け声におされ一部原発は再稼働されてしまいました。
その際、政府はじめ行政機関、電力会社は鉱山経営者「蛮甲」のように
人々の声に耳を傾ける姿勢を示したものの
しかし状況は何ら変わらない、という構図が続いています。
今舞台では、オヌの献身によって事態は収拾しましたが
原発の問題をどう切り開いていくのか答えが見えません。
「ヤマタノオロチ」のような魑魅魍魎が支配する原発という魔物は
結局は周囲に人が住むことができず問題終息に長年月がかかるという状況を生みながら
さらなる犠牲がないと解決しないのか、とも思ってしまいました。

作品の背景は栃木の足尾鉱毒事件かと思っていましたが
スウェーデンの事件だったのですね。
50年の時を経て再びかつての許嫁の姿に接した
老女の思いはいかばかりだったでしょう。
私の感想を言わせていただくと、今舞台では、この再会場面をもっとドラマチックに
時間をたっぷり割けばもっと良かったのではないか、と思いました。
スポットライトが二人だけに当たり、そこで女性が50年前の許嫁に
長い歳月の自身の労苦をとつとつと語りかけ、かつての許嫁に対する思いをぶつけ
鉱害の問題も訴えかけると、もっと客席に訴えたのではないでしょうか。
勝手な感想ですが、そう思いました。

公演時間は、やはりちょっと長かったですかね。
駐車場へ向かう真っ暗やみの帰り道、老夫婦が

  ちょっと長くて疲れた。前のシート席の方が楽だったな」
  最初はストーリーが分からなかったけど、公害事件の話だったんだね。
  そこまでの時間が長かった

と言っていました。
もちろん、本公演はストーリーだけを伝える公演ではなく、冒頭に述べましたように
人々の躍動、音、色などを総合的に観賞する舞台だと思います。
また、鉱毒事件をストレートに伝えると、社会派のごりごりと堅い芝居になってしまうと思います。
ですが、分かりやすさの点は、公演時間とともに少しお考えいただければと思った次第です。

と、勝手な感想を門外漢が述べましたが、一般参加者も含めて
特に若い人たちの舞台での躍動感は見ていてすごいな、と思いました。
阿部知事が「来年は観客の方も演じる側に」という話をされましたが
3時間というあれだけの時間を観客も共有するからこそ
舞台に引き込まれる何かはあるのだと思います。

今回は双眼鏡を持参したのですが
核となる専門の演者の方々の力量はもちろんすごかったと思います。
それ以上に脇で支えた演者も表情豊かに全身で演じていることに感銘を受けました。
親と子の愛、歳月を超えた男女の愛という重いテーマも見る者を引きつけますが
今度は楽しいミュージカル形式のコメディーも見てみたいなと思いました。(N)

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温かいご感想、そしてご意見に心より御礼申し上げます。

上演・終演時間に関しては、多方面にご迷惑をおかけしてしまう結果となり
申し訳ありませんでした。

皆様のご意見を参考にさせていただき、反省点をクリアしながら
より良い作品をご提供できるよう精進してまいります!

今後とも、よろしくお願い申し上げます。