Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

80歳の『別れの朝』

2023年06月28日 14時55分25秒 | エッセイ


ミュージックスクールに通い始めたのは70歳の時だった。
もともとは孫がギターのレッスンに通い、
その発表会を欠かさず観に行っていたら、何だかムズムズとし始め、
「俺もあのステージで歌ってみたい」との気持ちを抑えきれなくなり、
恥ずかしげもなくヴォーカルのレッスンに通い始めたのだった。

あれから10年余。年齢も来月で81歳になる。
もともとのかすれ声に加え、年を取るとともに声も出にくくなった。
それでも、まさに性懲りもなくレッスンに通っている。
声は出にくくなりはしたが、とにかくできる限り声を出して歌う。
これは、なにものにも代えがたい爽快感である。


そして年に2回、レッスンの成果を聞いてもらう発表会がある。
生徒たちが自分の歌いたい曲をステージで披露するのだ。
もう相当数、発表会に出ているのでひどく緊張することはないが、
最初の頃は、マイクを持つ手が震えたり、歌詞を忘れたりしたものだ。

25日にも、いつものライブハウスでその発表会があった。
選曲したのは『別れの朝』。世良公則バージョンだった。
ご存じのように、この曲は思い切り
声を出さなければならないところがある。
声が出にくくなっているのに、敢えてこの曲にしたのは、
実は思い切り声を出したかったからだ。
レッスン中は、その部分で咳き込むことがしばしばだった。
だが、練習を続けているうちに少しずつ声が出るようになってきた。

さて本番。咳き込まないように……それだけを願っていた。
歌い進むうちに次第に自信みたいなものが出てきた。
声も出ている。咳き込む様子もない。
何箇所か間違えはしたが、曲を止めるようなものではなかった。
よし、いけた。久々の快感である。



長生きしようと思い歌うのではない。
ただ歌うのが好き、楽しいというだけだ。
その時を精一杯生きたいのだ。
80歳爺さんの『別れの朝』に大きな拍手をいただいた。
それは、「いつまでも歌い続けなさい」との励ましのようでもあった。
「はい、頑張ります」心の中で大声で答えたのだった。



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3 コメント

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聞きたいです (猫の目)
2023-06-28 16:45:06
Toshiさんの歌声お聞きしたいです
素敵でしょうね♪
私は濁声音痴(;´∀`)
歌が歌えたら人生もうちょっと助かったのに・・
芸は身を助けるといいます

いつまでも歌い続けてくださいね
そしていつか歌声が聞けたらいいなぁ
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Unknown (Toshiが行く)
2023-06-28 16:55:05
猫の目さん いつもありがとうございます。実は発表会の動画も撮っています。ただ、それをどうすればブログに入れられるのか分からないのです。いつか、聞いてもらえたら僕も嬉しいですね。
返信する
是非是非 (猫の目)
2023-06-29 09:19:54
youtubeに動画をアップロードして共有でgooを選べばブログに貼り付けできますよ
楽しみにしています♪
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