Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

「いいね」の親指

2020年04月21日 05時44分05秒 | 思い出の記

親指を立てた「いいね」のサイン、あるいはマークを見ると、
つい孫娘に思いがいく。
僕ら夫婦の待ちに待った、嬉しい嬉しい思い出をくれた初孫の話だ。
今はもう23歳の立派な女性になっているから、
こんな話を持ち出すとしかめっ面するかもしれない。
           
   実は、この子は寝る時はもちろん、
   何かにつけ、「いいね」ポーズの親指をひょいとお口に入れる癖があった。
   つまり、指しゃぶりである。
   小さな子にはよく見られるものだが、
   この子はかなり大きくなるまでそれが続いたように思う。
   よく「それはダメよ」とたしなめたことを思い出す。
           
おそらく、それは寂しさ故だったのではないかと思う。
この子には、1つ違いの弟がいる。
厳密に言えば1年8カ月違い、学年だと姉は3月の早生まれだから2学年違う。
つまり弟は、この子がまだ2歳にもならないうちに誕生したことになる。
この2人の子の母親である長女は、僕らの元で、要するに里帰り出産したのだ。
弟が生まれる時、仕事のある父親は妻に同行できず、あいにくの不在。
母親は言うまでもなく弟の出産のため入院中とあれば、
2歳にもなっていないこの子はパパもママも側にいない、
1人ぼっちでじじ・ばばとの生活を強いられたのである。
                           
   昼間は何やかやと遊べるから気も紛れたであろうが、
   やはり夜、特に就寝時がとてもつらかったに違いない。
   何せ側には母親の温もりも、息づかいもないのである。
   それは、じじ・ばばでは到底務めきれない役回りであり、
   幼い子が寂しさを一生懸命にこらえているのを何とかあやすしかなかった。
   その時、親指はやはりお口にあった。
   でも、泣きはしなかった。
   小さい時に我慢することを覚えたのか、
   大きくなっても、この子が泣いている姿を見たことがない。
   随分と我慢強い子に育ったと思う。

ある日、親しくしている知人宅に遊びに連れて行った。
その家には、少し年上の女の子がいて結構遊び相手になってくれ
本人も楽しそうだったから、つい「泊めてもらおうか」という話になり、
この子をおいて帰宅した。

   夫婦が向かい合った食卓。突然、寂しさが込み上げてきた。
   目が潤む。互いに見合わせると、
   どちらともなく「やはり迎えに行こうか」と言うや否や、
   投げ出すように箸を置き、車に飛び乗って夜道を急いだ。

知人宅に着くと、「おーい、おいで。帰るよ」と呼びかけると、
笑顔いっぱいで飛んできた。
妻が抱き上げ、僕は友人に礼を言うのもそこそこに家へと向かった。
そして、いつものようにこの子を真ん中にして寝床に入り、
何だか安らぎみたいなものを感じたのである。
小さな親指は言うまでもなく、小っちゃなお口にあった。

   生まれてから間もなく、おそらく2時間後くらいだったと思う。
   初めて抱いた3900㌘の赤子は今、
   すらりと伸びて170㌢もある女性に育った。
   趣味でやっている社交ダンスでは、そのスタイルがひと際栄える。
   僕と一緒にライブハウスのステージに立ち、デュエットしたこともある。
   今はアメリカの大学に留学し、卒業を目前にしており、
   日本の企業への就職も内定している。

ブログ仲間の人たちに「いいね」ボタンを押そうとして、
ふいと思い出した孫娘の指しゃぶり。
孫自慢にきりはない。

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1 コメント

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Unknown (chiyo6213)
2020-04-21 10:32:44
素敵な孫自慢良いですねー〜
うちの孫もメキシコ🇲🇽に出張で行っていますよーー〜コロナウェルスで帰れません。心配ですが27歳です。頑張って👍いる事でしょう❓
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