太陽光バブルがはじけた、と日本では言われていますが、まだ太陽光発電が日本経済や社会生活に大きな影響を与える“前”にもうしぼんじゃうわけですか。
そういえば太陽光発電の問題点は、曇りだと発電効率が落ちることと夜間に発電できないことです。曇りの問題は、日本中をネットワークでつなげば日本のどこかは晴れているでしょうから何とかなりそうです。夜の問題はどうしましょう。巨大バッテリーを設置するか、地球の反対側とネットワークをつなぎます?
【ただいま読書中】『巨獣めざめる(下)』ジェイムズ・S・A・コーリイ 著、 中原尚哉 訳、 早川書房(ハヤカワ文庫SF1899)、2013年、840円(税別)
カンタベリー号を襲撃した犯人は「火星」の手がかりを残していました。そして火星の戦艦を襲った犯人は「地球」の手がかりを残しています。では、真犯人は、どこに?
カンタベリー号の生き残りホールデンとケレスの元刑事ミラーが出会ったエロスステーションは、ゾンビの巣窟となってしまいました。そして、そこにいた「警官」たちは、ずっと前にケレスから姿を消した悪党どもでした。
「計画的な犯罪」のにおいがぷんぷんします。そして、「凶器」は地球外生命体。
ああ、ヒントは上巻の冒頭にちゃんと書いてありました。
そして、誰もがまさかと思う、地球と火星の戦争が勃発します。火星対小惑星の戦争など吹き飛ばす勢いで。
異星のウイルスが解き放たれたエロスステーションは変形したゾンビが跳梁跋扈する“異世界”となります。巨大なホラーです。その欠片でも外に漏れたら、たとえば地球に飛び込んだら、そこはあっという間に死の世界になるでしょう。それを防ぐべきか、それとも、別の解決策を模索するか。
同じ情報を持ち同じ状況を目前にしても、ホールデンとミラーの判断は異なります。ここで下巻の冒頭に出てきた「(行動をする前に)あとの展開くらい予想しろ」というミラーの言葉が意味を持ってきます。
それにしても「同じ会話」を別の人物の目から描く、というテクニックが効果的に使われています。ああ、「同じ情報を持ち同じ状況を目前にしても」とさっき書きましたが、その時違う人は違うものを見ているのだ、ということがこの会話の複線的な描写でよくわかります。
太陽系を股にかけたスケールの大きなSFですが、奇妙な友情と愛情の物語でもあります。その奇妙さがいかにもSFっぽくて、私の好みに合っています。そして最後の一言。フレッド君が美味しいところを持って行ってしまいました。まあ、現場に苦労をさせて、最後に登場するのが政治家、ということなのかな。