地方を活性化するための手段として、たとえば原発とか核のゴミ捨て場とかも“活性化”のためのリストに載っているのではないでしょうか。
【ただいま読書中】『機巧のイヴ』乾緑郎 著、 新潮社、2014年、1500円(税別)
目次:「機巧のイヴ」「箱の中のヘラクレス」「神代のテセウス」「制外のジェペット」「終天のプシュケー」
連作短編集ですが、タイトルだけ見たら「?」となってしまいますね。
舞台は江戸時代の日本、ただし私たちの「この日本」とは違う日本です。たとえば相撲(捔力)では、野見宿禰ではなくて当麻蹴速が勝ったことになっているのです(「日本書紀」を読んでいない人には、このへんはあっさり読み飛ばされてしまうかもしれませんが)。そうそう、「天帝」は女系家族という芸の細かい仕掛けも施されています。
「機巧のイヴ」では、「機械仕掛けの人形は、いかに巧妙に人間そっくりの行動をしたとしても、魂があると言えるのか?」という問いが立てられている……ように見えますが、実はこの「問い」自体が巧妙な「仕掛け」となっています。精緻なカラクリで本物そっくりに動くコオロギ、鳥、そして人間。はたして彼らは魂を持っているのか、持っているとしたらそれをどのように人間が、そして彼ら自身が認識することができるのか。いやあ、衝撃です。
そして、第1話では語られなかった「イヴの過去」が少しずつ明らかになると同時に物語は大きく動き続け、最後には江戸城の天守閣が焼け落ちてしまいます。意思を持った機巧人形が動き回る世界とは、一見SF仕立てのようですが、非常によくできたエンターテインメント“時代”小説です。何も予備知識を持たずに図書館から借りてきましたが、正解でした。