【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

乗車アプリ

2019-09-25 07:23:11 | Weblog

 タクシーを呼ぶアプリを使ってみて、その手軽さに驚きました。ならばこれを進化させて、便乗アプリというのもできないでしょうかと思いました。日常的に、たとえば通勤に「誰か○○まで乗っけていって」と依頼して近くでその辺まで行く人がいたら便乗させてもらうアプリです。
 と思ったら、すでにあるんですね。これがもっと普及したら、通勤の渋滞が少しは減るのではないかな。というか、これが普及しない理由は、何?

【ただいま読書中】『最後の戦闘航海(航空宇宙軍史完全版(3))』谷甲州 著、 早川書房、2016年、1400円(税別)

 (第一次)外惑星動乱は外惑星連合の敗北で終わりました。木星系最大の軍港だったドルトン・リッジ軍港もさびれてしまい、目立つのは掃海隊だけです。航空宇宙軍が施設した機雷の除去が任務です。ただし航空宇宙軍からの支援はほとんどなく、老朽化した艦を不十分な機材と不十分なメインテナンスと足りない人員とでやっとこさだましだまし運用している状態です。
 戦争が終わっても掃海隊の戦いが続く、はかつての日本も経験しています。アメリカ軍によって大量にばらまかれた機雷は、「戦争が終わったぞ」といくら言っても起爆装置は解除されません。強制的に排除するしかないのです。アメリカ軍は自分の命をそんなことにかけたくはありませんから旧日本海軍の掃海艇が“大活躍する(酷使される)"ことになりました。
 敗戦国の軍人ではあるが、矜持と責任に支えられて掃海業務を行っていた(旧)ガニメデ宇宙軍の田沢は、航空宇宙軍から妙な任務を押しつけられます。ガニメデ軍の重力波研究施設があったヒマリアは航空宇宙軍によって機雷封鎖され、基地の人間は補給も不可能となったため脱出しようとして機雷に食われて全滅していましたが、そこのコンピューターのデータを取り出してこい、というのです。
 ガニメデでレジスタンス活動をしていたカミンスキィ中佐は、旧ガニメデ軍の兵士を次々脱出させてガニメデから“行方不明"にしようとしているレジスタンス組織のボスが、とんでもない戦争犯罪をしていたことを探り出してしまいます。ヒマリアにはもう一つ研究施設がありそこで航空宇宙軍の捕虜を使っての生体実験が行われていた、というのです。
 次々襲いかかる機雷をかわしてやっとヒマリアに着陸した田沢たちは、そこで戦争犯罪の動かぬ証拠を発見してしまいます。
 シリーズ物ですから、過去に登場した人が再登場したりあるいはその関係者が登場したりします。しかし、過去に月面で重要な役割を果たした人の子供が孤児となって登場したのには、私は悲しくなってしまいました。いや、同姓の別人かもしれませんけれどね。
 航空宇宙軍は「戦争に勝つこと」「戦後処理をきちんとすること」だけではなくて「外宇宙探査」という大きな目標を持っていることが作中で示唆されます。なぜ航空宇宙軍は太陽系外を目指すのか、そもそも人類はなぜ宇宙を目指すのか、これはおそらく読者への著者からの問いかけでしょう。