【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

スピード感

2020-05-17 08:56:41 | Weblog

 「スピード感を持って」とよく喋る人に限って動作が鈍重に見えるのは、私の偏見ですか? 「スピード」は行動であって、座り込んでべちゃべちゃ喋っていることではない、と思うのですが。「スピード感を持って」とあいまいに先延ばし的に抽象的に言うのではなくて「とりあえずこれとこれをすでに始めました」「○時間後にはあれを始めます」と具体的に言うことだと思うのですが。緊急事態に自分にだけ通用する精神論を聞かされても、嬉しくありません。

【ただいま読書中】『百億の昼と千億の夜』光瀨龍 原作、萩尾望都 漫画、秋田書店、1994年(2009年38刷)、705円(税別)

 以前読みましたが、また読みたくなりました。ただ、順番を変えます。11年前にはまず小説を読んでから漫画を読みましたが、今回は逆にして、まず漫画を読んでみます。理由は特にありません。単に気分です。
 「アトランティス」に魅了されたプラトンは、アトランティス自体が“この世界の外”の存在による何らかの実験であることを知ります。
 出家したシッダルタは、56億7千万年後にあまねく衆生を救う弥勒に対してもう4億年も壮絶な闘いを仕掛けている阿修羅王に「なぜ?」と問います。阿修羅王は「弥勒に会え」と答えます。さらに「宇宙の熱的な死、これこそが末法」とも。
 そしてナザレのイエス(とユダ)。アトランティスを「神」として支配したポセイドンや末法での救済を説いた弥勒と同じような存在として大天使ミカエルが登場します。
 そして西暦2900年、太陽系だけではなくて銀河全体を熱的な衰退が襲います。大災厄です。宇宙全体が滅びようとしているのですから。その滅びの中でハルマゲドンが始まります。と言っても、戦うのは数人だけ。ところが戦いの場は「この宇宙の外側」「この時間の外側」へと広がろうとします。いくらなんでもスケールがでかすぎません? 最後のイメージの奔流は圧倒的で、よく「絵」にできたものだ、と私は感心します。