アベノミクスでは「トリクルダウン」という言葉も使われていました。「富裕層をさらに富ませたら、そこから貧困層にも富の滴りが落ちてくる」という理屈でした。で、アベノミクスは大成功していたんですよね?(たしか半年前までの政府および政府寄りのマスコミの論調はそうだった、と私は記憶しています) だったら、その成功でたっぷり貯め込んだ人は、今こそ「滴らせ」を開始するべき時ではないです? アベノミクスで富んだ人たちは、こんなときに使わないで、いつお金を使う気なんだろう? 同じ金額を使っても、平時の十倍くらい感謝されるのに。
【ただいま読書中】『応天の門(10)』灰原薬 作、新潮社、2018年、600円(税別)
菅原道真が兄の敵と考える藤原家の内情は複雑です。良房の養子の基経は、子供時代に父および異母兄の国経と遠経に疎んじられていました(少なくとも本人はそのように記憶しています)。だから基経は、反藤原勢力だけではなくて、藤原家の人々に対しても、容赦なくその力を振るう気です。
そしてまた新たな謎が。検非違使の部下が、剣を狙ったとおぼしき、馬の頭をした身の丈七尺の“怪物”に次々襲われたのです。その謎解きに挑んだ道真は、成り行きで、唐よりも西域の言葉を学び始めます。世界は広く、自分が知らないことが世界の大きさだけあることに、道真は気づいたのです。
平安朝で、子供時代の菅原道真を“シャーロック・ホームズ”に見立てたコミック、でしたよね? なんだかずいぶんパワーアップしているんですが。この先がとても楽しみです。