弔辞というものは、老いながらえた者が、少しばかり急いで生きた方に、惜別のことばをいうものと僕は理解していました。
まさか、こんなに早く、自分が弔辞を述べ、それが歳もあまりかわらない岡本さんへの言葉になるとは思いもしませんでした。
岡本伸也さん、僕もまわりの人間も、みな岡本さんと呼んでいて、今ここに居るのが全く信じられない感覚でおります。
あなたの不在を誰もまだ受け止めかねている状態です。
しかし、残念ながら、あなたがここに居ないことは、認めねばなりません。
私と岡本さんの付き合いは、おそらく20年にはなると思います。
どなたが岡本さんと引き合わせていただいたのか、もう覚えていないのですが、私が主催していた会で、ほとんど知り合いがいないのに、いろいろと話しかけてこられた岡本さんの表情は、鮮明な記憶にあります。
まだ、プレジデント社の編集者のころです。
そして、何が気に入られたのか、僕にはわかりませんが、たびたびそうしたイベントに御出でになりました。
そこで、何をする訳でもなく、僕や僕の友人と政治や社会のことをいろいろ話そうとします。
たとえば若い女の子が多く集っていた会で、大半の参加した男たちは女性ばかりを気にしているのに、岡本さんが泰然として、僕や僕の男友達ばかりと話したがるのは、いつも不思議な感じがしていました。
その後、出版社を退社され、文筆活動や会社経営に乗り出された後も、そうした付き合いは、そのままの状況でした。
更に僕もよく知る著名人が創刊した雑誌の編集長を岡本さんが引き受け、悪戦苦闘されたことも記憶に残っています。これは、その後に、思わぬ出来事が起きて、大変な事態になり、岡本さんと私の間では、よく話題になることがありました。
他の人とは共有しづらいアクシデント的な出来事も、お互いがその内実を理解できることも、話があった理由と思います。
そうした前提を踏まえても、更にいろんな連携があったのは、3.11.、福島第一原発事故の影響が大きいです。
放射能の影響を懸念してインターネット上で情報発信を始めた私に、旧知の中で、連絡を取り、似たような懸念を強く持っていたのは、まず岡本さんだったということです。ご本人は、東京から名古屋に拠点を移し、そうした社会の大きな変動に対峙するべく、いろんなことを始められました。
SNS、Facebookで放射能防御に意識のある5000人規模のグループを運営されたり、新しい拠点の名古屋で、いろんな形でのイベントも開催。ガレキ焼却など、放射能拡散リスクのある話について、徹底して反対し、記者会見まで行うという立場を取られていました。
「放射能は危険だから、右でも左でもこのことは関係ない話」というのが彼の口癖でした。政治的には保守的なスタンスが強い岡本さんがこう話すことは、僕も全く同感でした。
そしてこの台詞が一番印象に残っています。
「木下さん、これで死ぬまで腐れ縁ですよ」
原発事故後、すぐ岡本さんが僕に言った話です。僕と岡本さんが原発事故に関してのスタンスが類似していたため、思わず口にされた内容なのですが、まさか岡本さんの早すぎる死によって、現実化されるとは思いもよりませんでした。
この余りにも早すぎる死を、残された我々はこれからも考えていくことになろうかと思います。
岡本さん、放射能の危険を考えなくてよい世界で、ゆっくりとお休み下さい。
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3/21(月・祝)
【「原発事故後、5年が経過して確認すること」木下黄太お話会IN徳島】
16:30 受付開始 17:00 開演〜19:00頃
場 所:O-ba'sh cafe. (オーバッシュカフェ)
(徳島県徳島市東船場1-26)
主 催:木下黄太IN徳島実行委員会
定 員:30席(すでに半分ほど埋まっています)
申し込み&詳細⇒ http://kokucheese.com/event/index/383486/
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3/26(土)夜
【「原発事故後、5年が経過して確認すること」木下黄太講演会IN沖縄】
18時受付開始。 18時15分~20時半
場所 牧志駅前ほしぞら公民館 会議室(定員50名)
沖縄県那覇市安里2丁目1番地1号 モノレール牧志駅よりすぐ
申込&詳細⇒http://kokucheese.com/event/index/377656/
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