俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

廃仏毀釈

2007-11-14 21:03:15 | Weblog
 廃仏毀釈は単に仏教と神道を分離しただけではない。仏教の権威の失墜と、仏教を包含する寛大な伝統的神道の破壊だ。新たに用意された宗教は現人神という教義を持つ国家神道という邪教だった。
 天皇はもともと神道の宗主などではない。多くの天皇が「上皇」という地位に着いたことから見ても、仏教を含めた日本の宗教全体の宗主と考えるべきだろう。例えば聖徳太子の墓は叡福寺の境内にある訳で古墳や陵墓だけに天皇が埋葬されている訳ではない。
 廃仏毀釈が日本の宗教すなわち神道と仏教の両者を破壊したと考えて間違いはなかろう。

共有

2007-11-14 21:03:05 | Weblog
 傘と自転車と自動車は共有できないものだろうか。どれも共通して「目的地に着くまでは必要だがその後は帰路に着くまで必要ない」という性質を持っている。
 傘を持つのが嫌いな人は多いようで最近駅に捨ててある傘をよく見かける。多くの自転車が朝の通勤時から夕方の帰宅時まで駅前に放置されている。もし共有できれば昼間に駅を通る人が利用できる筈だ。自動車は放置する訳にいかないから駐車場に止めるが、この本人が使わない時間を単に駐車するだけではなく他の人が利用できる仕組みにすれば持ち主にも利用者にも経済的メリットがある。
 形見の品などの貴重な品は人によって思い入れの度合いが違うので共有できない。しかし移動時に使うだけの道具と割り切るなら充分共有できる筈だ。

猿の母性愛

2007-11-14 21:02:56 | Weblog
 猿の母性愛を示す映像はしばしばテレビで放映される。子猿を抱えて敵に対して歯を剥き出して威嚇する姿や死んだ子猿がミイラになっても手放そうとしない母猿の姿がしばしば放映される。視聴者はこれを見て「猿でさえ母性愛があるのだ」と考えて感情移入をする。しかし残念ながら「猿でさえ」ではなく「猿だから」母性愛が本能的に備わっているのだ。人間の母性愛は本能ではない。
 進化は本能を強化する場合もあれば弱体化させる場合もある。前者の代表例は昆虫だ。昆虫は生きる術が本能によって決められていて「学習」する余地は無い。蝶は襲われても同じ「蝶の道」を何度でも通る。個々の昆虫は環境が変わってもそれに対応する能力を持っていない。個体差があるのでその環境に適応した個体が生存して繁殖する。
 逆の方向に進化した代表例が人間だ。人間の本能は極めて緩い。本能の不足を「学習」によって補っている。本能が足りないことは決して欠陥ではない。それだけ「自由」だということだ。自由であるということは育て方を誤れば獣以下にもなり得るということだ。

企業努力

2007-11-14 21:02:46 | Weblog
 昨今の物価の上昇に対して「企業努力で何とかして欲しい」という声を耳にすることがある。これは無理な要求だ。「失われた10年」などの景気停滞期を通じて大半の企業は目一杯の努力を続けて来た。アンタッチャブルだった筈の「人」にまで手を付けた。目一杯の努力を怠った企業は既に淘汰されている。企業努力を続けて来た企業ほど改善の余地は少ない筈だ。
 石油価格の高騰という経営の根幹に関わる問題を企業努力で何とかしようとするのはB29に竹ヤリで抵抗するようなものだ。価格据え置きなど無理なのだから適正な範囲で値上げをすることが経営破綻を招かないための唯一の選択肢だろう。増してや下請けをいじめて自社だけの繁栄を図るなどの行為こそ許されないことだ。現在および将来の石油価格に基づく価格体系に修正せず、我慢に我慢を重ねていればいずれ破綻を招くことになる。

風が吹けば桶屋が儲かる

2007-11-14 21:02:35 | Weblog
 「風が吹けば桶屋が儲かる」は笑い話に過ぎない。原因と結果を無理に繋ぎ合わせた詭弁に近いものだ。
 人間界ではこのようなことは起こりにくい。人間の社会はあちこちで分断されているからだ。ところが自然界は人間界以上に有機的に連鎖している。「森は海の恋人」という言葉があるが、これは森の栄養分が川を経て海に流れ込んでプランクトンや海藻を育てるから魚や貝が増えることを表現している。
 あるいは捕鯨禁止によって不自然に増えた鯨のために魚が減ったり、コクジラが増えたためにシロナガスクジラなどの大型鯨が減少するといったことも起こる。諫早湾の干拓はムツゴロウの全滅だけに留まらず他の生態系にも影響を与えることは間違いなかろう。自然界の連鎖は無限であり、どう連鎖するかはスーパーコンピュータを使っても解析できないだろう。
 自然界の連鎖を過小評価して自然破壊をすることがどんな恐ろしい結果を招くかについて人間はまだ充分に理解していない。人間界レベルの因果関係しか理解できない状態で、自然を人為的に「改善」しようとすることは危険を招く。

未完成(2)

2007-11-14 21:02:25 | Weblog
 人間は肉体も脳も、他の動物と比べて遥かに未完成な状態で生まれる。本能も他の動物より貧弱だ。この未完成な状態で生まれる赤ん坊は人為的に手を加えないとまともには育たない。
 人間の赤ん坊は自力で摂食することさえできないから放置されれば餓死する。仮に食べ物だけを与えられれば食欲だけしか無い、四つ足で這い回り奇妙な唸り声をあげる豚のような獣に育つ。
 立つことだけを教えればかろうじて立って歩くことぐらいは覚えるだろう。立って歩けば手を使うことぐらいなら勝手に身に付けるだろう。これで辛うじてオランウータン程度の能力を獲得したと言える。
 教えられないと知性は身に付かない。倫理について全く学ばなければ身に付く筈が無い。全く教えないよりは誤ったキリスト教倫理を教え込んだほうがまだマシだろう。しかしこれは100点満点のテストで0点よりは10点のほうがマシだという意味以上ではない。

親の恩

2007-11-14 21:02:15 | Weblog
 親の恩に報いることは非常に難しい。「親孝行したい時には親は無し」と言われるように親孝行できるだけの時間的・精神的余裕ができた頃には親が死んでしまって充分な報恩ができない。殆どの人が心ならずも「恩知らず」になってしまう。
 親の恩は子か社会に返すことが恩知らずにならないための唯一可能な方法だろう。

ドル安

2007-11-14 21:02:06 | Weblog
 米ドルは「円」以外の殆どの通貨に対して史上最安値の状態だ。他国の通貨だけではない。石油や金などもドル建てでは暴騰している。これは暴騰というよりはドルの暴落と見たほうが分かり易い。ドルの価値が下がっているからあらゆる物の価格が上がっているのだ。
 アインシュタイン以前のニュートン物理学では移動距離を時間で割って速度を測定した。ところがアインシュタインの相対性理論では光の速度が絶対値で距離も時間も相対値となる。価値が下がり続けるドルを基準にするよりは金を基準にしたほうが現状を良く把握できるだろう。
 ドルを基準に考えれば世界の情勢は把握できない。ドルは今、最も不安定な通貨だ。史上最大規模の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を抱えてインフレ状態にありながら、金利上げをすることさえできない。インフレ状態なら米国は本来金利を上げて通貨の流通量を減らさねばならない。ところがサブプライムローンの焦げ付き問題があるために逆に利下げをする始末だ。まだまだこれから米国のせいで世界経済は混乱するだろう。

羊頭狗肉

2007-11-14 21:01:55 | Weblog
 社会主義は偏狭なイデオロギーなので融通が利かないが、資本主義にはかなりいい加減な面があり平気で社会主義の長所を採り入れて高度福祉社会などを実現することもある。北欧などはその実例だ。
 原始的な資本主義は弱肉強食の競争万能社会だ。勝つためには何をしても良いという無秩序に近い社会だ。レベルが低い競争社会では勝ち残るための偽装が横行する。日本でも食品の偽装の情報が増えているが、チェック体制が向上したためなのか偽装が増えたせいなのかはよく分からない。多分前者だろう。以前なら揉み消されていたことが明るみに出るようになったのなら続発する食の偽装も嘆くには当らないのかも知れない。
 「羊頭狗肉」という言葉の出典は宋の禅書の「無関門」だから約1,000年前の話だ(「狗」は「犬」の意味)。これが21世紀になって文字通りに再現された。モスクワの中国料理店で羊肉と偽って野良犬の肉を食べさせていたらしい。ロシアと中国という公正な競争が未発達な2大国が舞台になっていることが何とも可笑しい。

円高(?)

2007-11-14 21:01:44 | Weblog
 新聞やテレビのニュースで「円高」という言葉を最近よく耳にする。現状は決して円高ではない。ただの「ドル安」だ。ユーロや元などに対して「円」はずっと記録的な「円安」の状態だ。
 米ドルは今、世界中の殆どの通貨に対して史上最安値になっている。ユーロや元などの主要通貨だけではなくフィリピン・ペソなどに対しても最安値を更新し続けている。これは「サブプライムローン」の焦げ付き問題等でアメリカ経済が混乱しているからだ。「円」だけが低金利のせいもあり、ドルと殆どリンクして他の通貨に対して価値が下落している状態だ。
 円高だと思って海外旅行をすればドル通貨圏以外では円安を嘆くことになる。ユーロという準基軸通貨があるのだから、ドルだけを基準にして「円高」だとニュース解説をすることは改めるべきだろう。