俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

コゲ

2012-11-13 10:06:05 | Weblog
 マスコミは怪しい情報を平気で垂れ流す。正確さ・重要性よりも話題性が優先されるから刺激的な情報を報じる。たとえそれが間違っていても訂正することは滅多に無い。そのために間違った情報でもそのまま定着してしまう。
 コゲに発癌性がある、と騒がれたことがあった。その後の研究で、一生コゲばかりを食べ続けない限り問題は無いことが分かったらしい。しかしそれでも「コゲには発癌性は無い」とは発表できない。一生食べ続ければ癌になる可能性は残っているからだ。
 これが白黒二分法の厄介なところだ。「白でない」ということが実質的に「黒」にされてしまう。限りなく白に近いグレーであろうとも白とは言えない。しかしこんな論法なら米であろうと肉であろうと発癌性物質にされてしまう。そして一旦グレーの烙印が押されてしまうとそれを反証することは困難なのでそのまま常識として定着してしまう。
 焼きおにぎりが市場から消えたぐらいなら構わない。しかし焼き魚のコゲが嫌われて皮を食べない人が増えたなら問題だ。皮を捨てたら10%ほど食料が減りゴミが増える。食料自給率が下がってゴミが増えるのだからマスコミは罪作りだ。
 「食に関して危ないことは何か」と尋ねたところ、日本の主婦は①添加物②農薬③コゲ、と答えたそうだ。毒物やウィルス・細菌や鮮度がランク外であることに驚かされる。多分、添加物や農薬についてわざわざ調べる人は殆んど皆無だろうから、主婦にとっての安全基準はコゲだけということになってしまう。こんな間違った常識を持っているから0-157などによる集団食中毒が繰り返されるのだろう。本当に注意せねばならないのは毒物やウィルス・細菌や鮮度なのにコゲにばかり関心が向かうのはマスコミが誤った情報ばかり流して訂正をしないからだ。

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