俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

接合

2014-01-29 08:53:33 | Weblog
 昨年12月28日付けの「クローン」で「異系交配をしなければ40歳の人のクローンとは既に40年分老化した赤ん坊だ」と書いた。この時、疑問を感じた人はいなかっただろうか。なぜ無性生殖をする生物は老化していないのか、と。
 無性生殖をする生物は枝分かれしたり二分裂したりして増殖する。有性生殖とは違ってこれらは同じ遺伝子を持って分裂する。ということは彼らは数十億年前から同じ遺伝子を持って生きていることになり、実質的に不老不死ということになる。これはあり得ないことではないか?
 実は無性生殖する生物も異系交配をしている。総ての無性生殖の生物が行っているかどうかは知らないが多くの細菌類が「接合」を行っている。二体が細い管で繋がって遺伝子交換が行われる。こうすることによって遺伝子がリセットされているのだろう。
 大腸菌のО抗原は今のところОー157など180種類ほどが見つかっている。大半は無害どころか有益であり動物と共生している。共生するほうが寄生者にとっても有利だ。強毒化して宿主を死なせてしまえば寄生者の大腸菌も滅ぶことになるからだ。あるいはペスト菌やコレラ菌のような病原菌は人類によって徹底的に排除される。ところがОー157のような病原性大腸菌は全く駆除できていない。それどころか駆除することを諦めて生レバーの摂食が禁止される始末だ。これは大腸菌が分裂によって増えるだけではなく、接合によって遺伝子が拡散されて劇的に増殖するからではないだろうか。つまり次世代だけではなく同世代にまで遺伝子が受け継がれるということだ。
 毎年、特定の種類のインフルエンザが流行することも接合が原因なのかも知れない。ウィルスは小さ過ぎるので今のところ接合が行われているかどうかは確認されていないが充分あり得ることだ。そうでなければウィルスは不老不死ということになってしまう。ウィルスは人や動物に感染するだけではなくウィルス間でも感染するようだ。

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