俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

老人医療

2015-11-03 09:40:50 | Weblog
 風邪をひけば発熱する。発熱は不快だが、これは自然治癒力の発動だ。夏に風邪が少ないのは風邪の原因になるウィルスが熱に弱いからであり、発熱によってウィルスの活動を抑え、同時に免疫力も高められている。解熱剤を使えば感覚的には楽になるがそのことによってウィルスにとっても生存し易い環境を作ることになる。私は余り我慢したがらない質(たち)だが、ウィルスとの我慢比べであれば喜んで耐える。
 通常なら高熱を招く筈の肺炎などの感染症に罹っても高熱を出さない老人がいるそうだ。これは自然治癒力が劣化して抗病原体反応である発熱ができなくなっているからだろう。そのために重症であっても見逃されることがあるそうだ。
 老人においては自然治癒力そのものが劣化している。だから自然治癒力に頼り切った医療では治療できない。老人のための医療が必要だ。若い人の関節痛であれば、鎮痛剤で痛みを抑えている間に自然治癒力が働いて治るが、老人の関節痛は関節の軟骨の劣化だから自然治癒力に頼れない。鎮痛剤で痛みを誤魔化していても鎮痛剤の効き目が切れれば治療前よりも悪化して再発する。
 関節は使い減りするが、老人でも筋力強化は可能だ。関節周辺の筋肉を強化すれば関節の負担を減らすことができる。関節の老化を防ぐことはできないがリハビリによって筋力が強化されれば運動機能は改善される。
 藪医者よりも老人のほうがこのことを知っているようだ。屋内プールはまるで老人のためのリハビリ施設のようになっている。筋力を鍛えて関節痛を克服しようとしているのだろう。
 頑固な老人は医師から老化現象と言われると怒るそうだ。それは老化であれば治らないという意味になるからだ。こんな老人に迎合して変てこりんな病名が次々と捏造されているがこんなその場凌ぎは慎むべきだろう。
 現代の医療は自然治癒力に頼り過ぎている。だから自然治癒力に頼れなくなれば匙を投げる。自然治癒力に頼り切ってしかもそれを自覚していないから不治の病として諦めている。
 自然治癒力に頼り切った対症療法を誤りと認めてて原因療法に目覚める必要がある。自然治癒力で治らない時こそ医療の出番だろう。これまでの医療は余りにも「いい加減」だった。病原体を倒すこと以外は自然治癒力任せだった。だから自然治癒力に頼れなくなるとお手上げ状態だ。栄養学などからも学んで、原因に正しく対処する新しい医療が求められるべきだろう。

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