俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

客観性と他人事

2008-09-09 18:38:28 | Weblog
 福田前首相は辞任の記者会見で「私は自分を客観的に見ることができる。あなたとは違う。」と発言して、多くの人がこの発言に不快感を持った。それはなぜだろうか。
 福田氏は客観性と無関心(無関係)を混同している。無関心(無関係)な第三者の立場から見ることを客観性と信じている。
 キェルケゴールはヘーゲルの客観性を非難した。生きることを自分の(subjective)問題と捉えない客観的な( objective)姿勢を許せなかった。これ以降の哲学ではsubjectiveには「主観的」と「主体的」の2つの訳語が必要になった。
 何事も客観的に(他人事のように)捕らえる態度には責任感が感じられない。国のリーダーは同時に最高責任者でありあらゆる問題に責任があるにも関わらず、福田氏はそれを主体的な問題とは捉えなかった。
 福田氏は決して自分を客観視できていない。もし客観視できれば「いつも他人事のように話す無責任な政治家」としての自分の姿に気付ける筈だ。
 但し自分が辞めることによって自民党に追い風が吹くと考えたのなら、それは客観的で正当な判断だっただろう。

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