俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

存在と所有

2010-02-02 15:39:43 | Weblog
 自分自身であるものと、単に持っているだけのものとは次の点で明確に判別できる。
 自分自身であるものは適度に使うことによって鍛えられる。脳も筋肉も骨も内臓も使えば成長する。逆に使わなければ劣化する。
 内臓は意識して使われる訳ではないので納得しにくいかも知れないが、例えば特定の胃腸薬を使い続ければ胃は薬によって補われる酵素を分泌する機能を低下させてしまう。これも劣化の一種だ。
 一方、単に持っているだけのものは使えば傷んだり減ったりする。服や装身具は使えば傷むし、金は使えば減る。義手や義足も使い減りする。唯一の例外はプロの職人が使う道具だろう。これだけは使い込むことによって一層手に馴染むようになる。
 自分自身であるものを所有物と混同して使い惜しみをしているとどんどん駄目になる。
 当たり前のことだが所有物は自分自身ではない。大切にすべきなのは自分自身であり自分を磨くことだ。所有することばかり考えていると一番大切な自分自身のことが疎かになってしまう。

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