俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

予防

2015-11-26 09:36:41 | Weblog
 赤信号で止まらされる時、運が悪かったと思う。しかし良いタイミングで青信号になって通過したばかりに交通事故に遭うということもあり得る。その時には「赤信号で止まっていれば」と思うだろう。
 赤信号が招いた幸運に人は気付かない。何も起こらなかったからだ。何も起こらないのが当たり前だから幸運を招いた赤信号に気付かない。
 不運が実は幸運だったと実感できるのは航空機事故の時ぐらいだろう。ダブルブッキング等のために搭乗できなかった人はその不運を嘆く。しかし乗り損ねた航空機が事故を起こせば幸運だったことを知る。これは例外であって、人は不幸が回避されたことには気付かない。不幸が未然に回避されても感謝しない。
 ビジネスにおいて危機察知能力の高い人がいる。こんな人は事故が起こる前に問題を解決する。残念なことにこんな人は余り高く評価されない。むしろ軽いトラブルが起こってから巧妙に解決した人のほうが評価され勝ちだ。
 病を患う人は多くの原因を挙げる。過労、偏食、飲酒、喫煙etc.。しかし健康な人がなぜ健康であるかは分からないことが多い。だから病気は研究の対象にできるが健康は対象外だ。
 こんな不可知性に付け込んだビジネスが2つある。御利益宗教と偽医療だ。御利益宗教を信じれば不幸を回避でき仮に不幸に遭ってもそれを軽減できると言う。死ぬ筈だった事故も半身不随で済む、と言う。全く呆れた理屈だが、これと全く同じ理屈を使うのが偽医療だ。医療とはオカルトと同類だと痛感せずにいられない。インフルエンザワクチンを接種すれば罹りにくくなり仮に罹っても軽症で済むと厚生労働省は公言している。御利益宗教と全く同じ理屈を使って恥ずかしくないのだろうか。
 インフルエンザワクチンの有効性は証明されていない。3・4年後まで調べれば却って有害というデータもある。有害性は確実だが有効性は不確実なワクチンなど要らない。
 現在の予防医療の大半は偽医療だ。予防効果があったかどうか殆んど検証されていない。医師自らが「呼ぼう医療」と陰口を叩いているらしい。癌の早期発見・早期治療も大半が癌ではなく良性腫瘍を切り取るだけの無駄で有害な偽医療だろう。

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