俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

正義の味方

2013-08-16 08:37:48 | Weblog
 日本禁煙学会が宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」にクレームを付けたことは知っていたがその要望書の内容には呆れ果てた。「この作品は(タバコ規制枠組み)条約違反ということになります」とのことだ。
 これだから自称正義の味方は迷惑だ。自分の側に正義があると信じ込んでいるから気に食わないものは総て悪として否定する。
 こんな馬鹿げた理屈が通るなら、大半の戦争映画は憲法違反であり、漫画の「クロサギ」や「デスノート」などは犯罪幇助ということになる。感情的な反発を正当化するために法律や条約を拡大解釈しているだけだ。煙草を禁止する法律が無いから国際条約まで持ち出して脅そうとする。
 14日付けの「エスカレータ」と同じ排除の論理が感じられる。エスカレータの場合、止まる人は弱者かつ多数者即ち正義であるから、歩く人を強者かつ少数者即ち悪と決め付けるが、日本禁煙学会にとっては煙草=悪であり、煙草を好意的あるいは中立的に扱うことは悪の幇助となるのだろう。こんな幼稚な善悪二元論を使う人の知性を疑う。
 私は種を守るために10年ぐらいは鰻食を自粛すべきだとは考えているが「禁止しろ」とは絶対に言わない。信念の押し付けは途轍もなく傲慢な姿勢の表れであり、各自がそれぞれ判断すべきことだろう。
 昔から「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と言うがこんな連中にかかったら「夏の袈裟はクールビズに背くから禁止しろ」ということにでもなるのだろうか。こういうやり方は「法の悪用」だ。不快なら不快と言えば良いのであって妙な理論武装は品性の下劣さを露呈するだけだ。

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