俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

男女格差

2015-12-19 09:44:23 | Weblog
 公的年金についての世代間格差はしばしば問題にされるが、男女格差について触れられることは殆んど無い。しかし世代間格差は現状からの推定で将来実際にそうなるかどうかは不確実だが、男女格差は今、実際に生じている格差だ。これが問題視されていないことこそ大問題だろう。最大の原因は寿命の違いだ。
 生命保険であれば男性のほうが掛け金が高くなる。これは同じ保険金を得るためには死に易い男性のほうが多くの掛け金を払わねばならないということであり、確率論で考えても妥当だ。
 しかし公的年金はとんでもない仕組みになっている。毎年の受給額は納付期間や納付額によって決まる。だから受給期間が長いほど得をする仕組みだ。
 ところが平均寿命の男女差は明白だ。2014年のデータでは男性が80.50歳、女性が86.83歳とのことだ。女性のほうが6年以上長寿なのだから受給期間も6年以上長くなる。65歳から受給するとすれば男性は15.5年、女性は21.8年受給することになり、女性の受給期間は男性の1.4倍、つまり受給額も1.4倍になる。
 世代によって異なるが、将来の公的年金の損益分岐点は80歳以上まで生きるかどうかだろう。80歳まで生きればほぼ確実に納付額以上の受給額になり、80歳までに死ねば損をする可能性が高い。ところが2014年のデータに基づく80歳生存率は男性が53.5%、女性が75.3%とのことだ。つまり男性は半分の人しか得をしないが女性は3/4が得をするということだ。これは酷い!
 こんな不公平を解消するために男女の年間受給額に差を付けるべきだろう。受給期間が短い男性の受給額を増やさなければ余りにも不公平だ。
 マスコミはこんな問題提起をしない。女性が差別されているという話には飛び付くが男性に対する差別は無視される。日本の男性は寛大過ぎるようだ。男性は余りにも明確に不公平な制度に対して怒るべきだろう。
 素人でもすぐに気付く矛盾に専門家が気付かない筈が無い。わざと温存されているのだろう。もし制度の見直しをするなら、男性を増額、女性を減額するということになるが、多数派を占める女性の大半が反対するだろう。多数派が得ている特権には手を付けられないことが民主主義の最大の欠点だ。極度に高齢者を優遇する大阪市の「敬老パス」に対して橋下前市長以外は誰も火中の栗を拾おうとはしなかった。正義よりも票集めを重視する政治家ばかりだ。

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