俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

器用貧乏

2009-04-21 16:19:44 | Weblog
 得意なことを伸ばすべきか苦手なことを克服すべきか誰でも迷うことだろう。私は、得意なことを積極的に伸ばすべきだと強く主張したい。なぜなら私自身がその逆をやり続けて失敗したからだ。
 私は本来、理科系の人間だった。ところが大学入試で1度失敗すると文科系に切り替えてしまった。そのため高校の全カリキュラムを受験レベルで履修したという珍しい経歴を持つ。
 私は本来、格闘技系、それも組み技に向いた人間だった。大学で背筋力を測ったら230kgだった。これはオリンピックの重量挙げ選手並みの凄い数値だった。しかし野球やサッカーなどの球技や水泳を楽しんだ。
 私は本来、学者タイプの人間だった。しかし世間の圧倒的多数がサラリーマンであるという現実からその生き方を自ら体験すべくサラリーマンの道を選んだ。
 サラリーマンになってからもこの悪癖は治らなかった。本来、企画力で勝負すべき人間だったが管理的な仕事も喜んでやった。時には「嫌いな仕事をするのが大好き」というオリジナルのパラドックスを作ったり自ら「コウモリ人間」と名乗って周囲を煙に巻いた。
 職場は転々とした。社内異動の多さ・多様さは多分社内一だろう。これで地位が上がればゼネラリストとして多才な人間と評価されたことだろう。しかしこの不況で事情は一変した。各ポストに最適な人材を貼り付けると、何でもできるがどれ1つとして一番でない私は居場所が無くなってしまった。非常時には専門馬鹿のほうが器用貧乏よりも役に立つからだ。
 個人としては苦手を作らないという選択はそれなりに意義がある。しかし社会人としてはどこかで専門分野を作っておかないと評価されにくい。

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