俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

有益な嘘

2010-06-25 16:12:08 | Weblog
 事実を知らせることが社会に害を為すことがある。しかしその有害性は一時的なものであり、長期的には有益なものとなるだろう。地動説や進化論は西洋人を一時的には混乱させた。しかしそれを受け入れることで文明は進歩した。
 有益な嘘もある。しかしその有益性は一時的なものでしか無い。宗教による魂の救済は嬉しい嘘だ。しかし所詮は嘘だから真の救済にはならない。
 嘘が小さな嘘に留まるなら目くじらを立てる必要は無いかも知れない。しかし嘘は他の嘘を必要とする。嘘は嘘によってしか立証され得ないからだ。小さな嘘を正当化するためには大量の嘘が必要になる。そしてやがて巨大な嘘の体系となる。宗教や形而上学がその典型だ。
 巨大な嘘を嘘と思わずに生涯を奉げた人は少なくなかろう。仮に途中で、嘘かも知れない、と疑っても引き返すことは容易ではない。最早、嘘の中で生きることしか選択肢は無くなっているかも知れない。
 宗教団体で地位を得てしまった人は嘘に嘘を積み重ねる以外には生き様が無い。教義を疑うことは教団に対する裏切り行為になってしまうからだ。

1 コメント

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こんにちは (aiu)
2010-06-25 16:31:56
本当の宗教を得る人は、稀だと思いますよ。
だから、宗教の本質が嘘、なのではなく、嘘の宗教が世に蔓延しているという事だと思う訳です。
ちなみに、本当の宗教を得る奥義は「熱意」。これのみかと思います。
http://blog.goo.ne.jp/aiu_kikaku
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