俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

打落水狗

2015-03-22 09:35:58 | Weblog
 最近、白鵬関に対するバッシングが目立つ。つい先日まで「平成の大横綱」と手放しで称賛していたのに、審判批判をきっかけにしてまるで堰を切ったかのように非難を浴びせ続けている。かつての朝青龍関へのバッシングを彷彿させる状況だ。
 マスコミの悪い癖だと思う。称賛があれば称賛を煽り非難があれば非難を煽る。少年による凶悪犯罪があればまるで少年法が凶悪犯罪を助長しているかのように書き立てる。世論を煽ることに夢中になるから問題の本質が忘れられる。
 マスコミは大衆に迎合する。戦前・戦中であれば好戦気分に迎合して煽り立て、戦後には厭戦気分に迎合した。迎合するために嘘まで利用したのが朝日新聞であり、その嘘が日本だけではなく世界にまで拡散した。朝日新聞はほぼ一貫して反権力のポーズを採っているが、正当な批判よりはむしろ反体制グループに迎合して嘘と詭弁を繰り返していた。誤報を認めるまでの言動は明らかに常軌を逸していた。
 心理学用語にハロー効果という言葉がある。ある人に優れた一面があると他の面でも優れているかのように錯覚することを言う。その一方で、悪い面があれば徹頭徹尾悪いかのように思い込む。まるで子供のように善・悪や敵・味方と単純化して仕分けしようとする。大衆はハロー効果による錯覚に陥り易いのだからそれをマスコミが是正すべきなのだが、日本のマスコミはそれをせず逆に便乗して煽り立てる。だから日本の世論は大ブレし易い。
 格差問題にせよ温暖化にせよ、あるいはかつてのダイオキシンや環境ホルモン問題にせよ、かなり疑わしい話が横行していても世論がそちらに傾いていればマスコミはそれを煽り立てる。民主党の圧勝も惨敗もマスコミが煽って作り出したものだ。
 マスコミの姿勢は常に「打落水狗(水に落ちた犬は打て)」だ。強きを助け弱きを挫くことを正義と信じているのだから全くタチが悪い。多数者が喜ぶことしか報じない太鼓持ちのような姿勢でありポピュリズムそのものだ。世論が偏っている時にこそそれを是正すべきであり、世論に乗じて水に落ちた犬を打つのではなく一考を促すべきなのではないだろうか。

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