俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ドル安

2007-11-14 21:02:06 | Weblog
 米ドルは「円」以外の殆どの通貨に対して史上最安値の状態だ。他国の通貨だけではない。石油や金などもドル建てでは暴騰している。これは暴騰というよりはドルの暴落と見たほうが分かり易い。ドルの価値が下がっているからあらゆる物の価格が上がっているのだ。
 アインシュタイン以前のニュートン物理学では移動距離を時間で割って速度を測定した。ところがアインシュタインの相対性理論では光の速度が絶対値で距離も時間も相対値となる。価値が下がり続けるドルを基準にするよりは金を基準にしたほうが現状を良く把握できるだろう。
 ドルを基準に考えれば世界の情勢は把握できない。ドルは今、最も不安定な通貨だ。史上最大規模の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を抱えてインフレ状態にありながら、金利上げをすることさえできない。インフレ状態なら米国は本来金利を上げて通貨の流通量を減らさねばならない。ところがサブプライムローンの焦げ付き問題があるために逆に利下げをする始末だ。まだまだこれから米国のせいで世界経済は混乱するだろう。

羊頭狗肉

2007-11-14 21:01:55 | Weblog
 社会主義は偏狭なイデオロギーなので融通が利かないが、資本主義にはかなりいい加減な面があり平気で社会主義の長所を採り入れて高度福祉社会などを実現することもある。北欧などはその実例だ。
 原始的な資本主義は弱肉強食の競争万能社会だ。勝つためには何をしても良いという無秩序に近い社会だ。レベルが低い競争社会では勝ち残るための偽装が横行する。日本でも食品の偽装の情報が増えているが、チェック体制が向上したためなのか偽装が増えたせいなのかはよく分からない。多分前者だろう。以前なら揉み消されていたことが明るみに出るようになったのなら続発する食の偽装も嘆くには当らないのかも知れない。
 「羊頭狗肉」という言葉の出典は宋の禅書の「無関門」だから約1,000年前の話だ(「狗」は「犬」の意味)。これが21世紀になって文字通りに再現された。モスクワの中国料理店で羊肉と偽って野良犬の肉を食べさせていたらしい。ロシアと中国という公正な競争が未発達な2大国が舞台になっていることが何とも可笑しい。

円高(?)

2007-11-14 21:01:44 | Weblog
 新聞やテレビのニュースで「円高」という言葉を最近よく耳にする。現状は決して円高ではない。ただの「ドル安」だ。ユーロや元などに対して「円」はずっと記録的な「円安」の状態だ。
 米ドルは今、世界中の殆どの通貨に対して史上最安値になっている。ユーロや元などの主要通貨だけではなくフィリピン・ペソなどに対しても最安値を更新し続けている。これは「サブプライムローン」の焦げ付き問題等でアメリカ経済が混乱しているからだ。「円」だけが低金利のせいもあり、ドルと殆どリンクして他の通貨に対して価値が下落している状態だ。
 円高だと思って海外旅行をすればドル通貨圏以外では円安を嘆くことになる。ユーロという準基軸通貨があるのだから、ドルだけを基準にして「円高」だとニュース解説をすることは改めるべきだろう。

ローマ字表記

2007-11-14 21:01:30 | Weblog
 日本語には同音異義語が多いのでローマ字表記すると意味が分からなくなることがある。「貴社の記者は汽車で帰社した」をローマ字げ書けば殆どの人には意味が分からなくなる。
 社名もローマ字表記すれば変な意味になりかねない。Fujitsuなどは会社の人は気にならないのだろうか。私はいつもこれを「不実」と読んで「ひどい社名だなァ」と呆れている。
 同じ家電メーカーでも「日立」の場合はどうせローマ字表記するならHigh-touchと表記して「日立はハイタッチ」というコピーを使えばどうだろうか。

念動力

2007-11-14 21:01:19 | Weblog
 従来、念動力(サイコキネシスまたはテレキネシス)はオカルトとして科学の研究対象からは排除されていた。しかしこれが実用化されつつある。脳波を読み取って動く車椅子やパソコンなどの研究が進められている。脳波そのものがエネルギーとなる訳ではないのでSFの念動力と同じものではないが、脳波を捕らえて動くという現象は念動力に近い働きをすることになる。人間は自力では飛べないが飛行機を使えば空を飛べるのと同じようなものだ。
 こういう技術はすぐに軍需産業が活用するだろう。引き金を引かなくても発射できる銃や脳波でコントロールできる殺人ロボットなどが開発されることになるだろう。
 もし脳波によって動く殺傷兵器が大量生産されれば恐ろしいことになりかねない。それが安全装置が解除された状態で放置されていたら人の殺意だけで殺人が実行されてしまう。「お父ちゃんなんか死んじゃえ!」という子供の怒りにまで反応すれば一体どれだけの人の命が失われることになるだろうか。銃よりも何万倍も危険な代物だ。

10分後

2007-11-14 21:01:01 | Weblog
 今、晴れているなら10分後も多分晴れているだろう。大抵の人は今日1日ぐらいは晴れが続くと予想するだろう。しかし今の天気を根拠にして1週間後も晴れると予想する人はいないだろう。
 今、生きている人は10分後も多分生きているだろう。しかし1年後、2年後に生きているかどうかは分からない。それにも関わらず生きていることを前提にして計画を立てる。死ぬかも知れないという考えは「縁起でもない」という一言で排除される。これは晴が1年後まで続くと考えるのと同じぐらい不合理なことだ。

虐待の連鎖

2007-11-14 21:00:34 | Weblog
 秋田の連続児童殺害事件の畠山鈴香被告が「20歳頃まで父親から暴力を振るわれた。」と証言した。本当に虐待されていたのか同情を買おうとしているだけなのかは分からない。何しろ「死人に口無し」だから。死んだ人について何を言おうと死人は反論できないのだから言いたい放題だ。
 被告の証言どおり父親に虐待されて「楽しかったことは無かった」なら被告が「彩香の手に触るのが苦手だった」という発言の意味もよく分かる。被告にとって肉親とは「憎親」であり普通の親子関係とは全然違った意味しか持たない。人間には先天的に育児本能が備わっている訳ではないのだから、普通の愛情ある親子関係を想定している限りこの異常な事件は理解できない。
 親に成れるようには育てられなかったのなら親として人間としてすべきことができなかったのも無理は無かろう。親に成る資格の無い人間が親に成ってしまったことがそもそもの間違いだったのだろう。

失敗する改善策

2007-11-14 21:00:07 | Weblog
 理念優先の改善策は必ず失敗する。改善を図る場合は必ず現場の視点に立つ必要がある。
 外国のレストランにはチップという面倒な制度があり決して合理的な仕組みとは言えない。これを顧客視点から改善しようとすると問題が発生する。もしチップを廃止すればウェイトレスの臨時収入が絶たれる。チップは彼女らの生活費に組み込まれているので減収に繋がる。この問題を放置すれば従業員の離反を招く。顧客へのサービス向上のつもりでチップを廃止したことが従業員のサービスの低下を招いたり、良いウェイトレスの退職を招いたりすることになる。
 こんな事態を招かないためにはチップを廃止するのと同時に給与体系を見直さねばならない。チップが無くなってもウェイトレスの収入が減らないように仕組みを変更しておかねばならない。ウェイトレスの賃金を上げるためには料理の価格を見直すことが必要になるかも知れない。そこまで本気で取り組まないと改善には繋がらない。理念だけが先走った改善策が失敗するのはこんな事情からだ。
 改善を机の上で完成させることはできない。必ず現場の従業員の抱える問題を共有して現場の従業員と共同で完成させねばならない。

バラクーダ

2007-11-14 20:59:52 | Weblog
 セブ(マクタン島)の海で泳いでいた。ドロップオフの沖に鯨かと思えるほど巨大な動物が見えた。私はその正体を知っていたので迷わずに沖へ向かった。それは何百万尾の小魚の群れだ。そしてその群れの上の海面近くには期待通りバラクーダがいた。
 バラクーダは海面近くを悠々と泳ぐ。小魚の群れが大きいだけにバラクーダも数尾いた。体長は80cmから1mぐらいだろうか。彼らは時折群れに襲いかかる。群れはまるで1匹の生き物のようにまとまって素早く逃げる。多分何尾かが犠牲になったことだろう。
 まるで羊の群れを襲う狼のようにバラクーダは突然襲う。群れは余りにも大きいので食べ尽くされることはあり得ない。群れのうちで最も敏捷性の乏しい者が順次犠牲になって行く。残酷な適者生存の法則が適応される現場を私は飽きずに眺めていた。

魔女裁判

2007-11-14 20:59:42 | Weblog
 中世のヨーロッパでは恐ろしい魔女裁判が行われた。これほど冤罪であることが明白な裁判は無い。それにも関わらず数十万人から数百万人が犠牲になったと言われている。
 実は中世だけの話ではない。ドイツでは1772年、イタリアでは1791年、ポーランドでは1793年まで魔女裁判が行われていた。
 魔女であることを白状させるために酷い拷問が実施されたことは有名だがもっと卑劣な手も使われた。自白すれば罪を軽減するとすると約束しておきながら自白した容疑者に対する判決はことごとく死刑だった。
 詭弁を使うなら最も苦しい火焙りの刑を、楽に死ねる絞首刑や斬首に減刑したとも言える。しかし本音は「魔女との約束は無効」という理屈だ。約束はあくまで人間同士でのみ有効であり魔女や悪魔との約束は豚やゴキブリとの約束と同様に無意味だというのが彼らの理屈だ。魔女であることを自白した時点で容疑者は人間としての権利を失うという訳だ。
 多分彼らは同じような理屈を使って異民族を欺き続けたことだろう。キリスト教徒以外は人間でないという世界観を持つ彼らはキリスト教徒でない(=人間でない)者との約束を守る必要は無い。異教徒やネイティブアメリカンはこうして騙され続けたのだろう。